日本唯一となった「海をゆく路線バス」鹿児島に バスに乗ったままフェリーに「乗船」

過去にはほかにも「フェリーに乗る路線バス」が

 船で海上区間を移動する都市間路線バスは、かつて瀬戸内海を中心に数例存在しました。

 たとえば1998(平成10)年に明石海峡大橋が開通する前は、東京~徳島間の高速バス「エディ号」が、神戸で淡路フェリーボートに積み込まれ、淡路島 で船を降りたあと徳島へ向かっていました。また、広島県内と愛媛県今治市を結ぶ「しまなみライナー」のうち、かつてあった三原発着の便も、「しまなみ海道」の全通によりフェリーの航送から高速道路経由に変更された例です。

 大分・別府~広島間を運行していた高速バス「別府ゆけむり号」は、国東半島の竹田津港で「スオーナダフェリー」に乗船し、山口県の徳山港に向かっていました。陸路では200km以上ある区間を半分にショートカットする経路ですが、それでも6時間を要します。2015年には東九州道の開通により、大分~北九州間で新たな高速バスも誕生する一方、竹田津港は高速道路のインターチェンジから離れていることもあり、時間短縮の効果は薄まっていたかもしれません。結局、2017年には路線休止となり、その後は陸路で大分と広島を結ぶ高速バスも設定されていません。

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2017年に休止となった大分・別府~広島間の「別府ゆけむり号」。道中でスオーナダフェリーを利用していた(oleolesaggy撮影)。

 これにより、フェリー航送を含む都市間路線バスは、「大隅半島直行バス」が唯一の存在となったのです。かつては、錦江湾に海底トンネルを掘って鹿児島市と大隅半島をつなぐ構想もありましたが、総工費900億程度、年間維持費2.9億円という調査結果もあり、進展していません。このルートは、フェリーが活用される状況が当面続くのではないでしょうか。

 なお、「フェリーに乗るバス」としては、JR九州バスが桜島フェリーを介して鹿児島市内と桜島内を周遊する定期観光バスを運行しています。

【了】

※記事制作協力:風来堂、oleolesaggy

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