【「平成」と乗りもの】変化した「乗りものと女性」の関係 増えた女性現場職員、その背景といま

鉄道会社だからこそ必要な女性の視点

 東急電鉄は、法令の改正に対応する形で女性の採用を進めてきたといいますが、いまや同社を含め様々な企業が、女性の積極採用、女性社員や役員比率の向上を目標として掲げています。東急電鉄 労務企画グループ課長の高橋葉子さんは、「女性の活躍推進は喫緊の課題」だと話します。

「現役世代の人材確保が難しくなっているなか、女性だけでなく、シニアや障がい者、LGBTといった性的マイノリティの方々など、多様な人材を活かす『ダイバーシティ経営』が重要になっています。女性の活躍は、その入口ともいえる課題であり、多様な人材、働き方への取り組みが、今後は会社を選ぶ基準のひとつにもなるでしょう」(東急電鉄 高橋さん)

 同社は経済産業省などが「女性活躍推進」に優れた企業を選定する「なでしこ銘柄」に7年連続で選定されていますが、こうした実績や会社の諸制度について関心を寄せる就活生も増えているとのこと。

 静岡市を中心としたエリアで路線バスを運行する「しずてつジャストライン」は、育児や介護などでフルタイム勤務が困難な場合には平日、日中のみの勤務を認めるなどして、女性バス運転手の採用と働きやすい環境の整備を進めています。これには「バス運転手=男性」というイメージを払拭し、深刻なドライバー不足の解決につなげる目的があるそうです。

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東急世田谷線では2004年から、早朝および夜間を除き女性の案内係が専門的に乗務する(2014年5月、草町義和撮影)。

 人材確保の観点だけでなく、女性の活躍はサービス面においても重要視されています。2000年代後半から女性活躍のための制度改革を進め、いまや社員の男女比がほぼ同等という静岡鉄道によると、「『鉄道』会社ではありますが、実際はホテルや介護事業など営業範囲は多岐にわたり、それらの発展につなげるためにも、女性の視点は重要です」とのこと。これは鉄道会社全般にいえ、「家庭の財布を奥様が握っているケースも多いので、駅業務も含め、生活サービスを提供する側にもお客様と同じような視点が求められます」(東急電鉄 高橋さん)といいます。

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コメント

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2件のコメント

  1. うちの母親は昭和30年代、東京都交通局の職員でいわゆる都バスの車掌でした。女性用制服もあったし女性の仕事でしたよ。ワンマン化でその職業もなくなりましたが。

  2. ひなまつりフライト、素敵な取り組みだと思いました。
    航空業界は男女の活躍がずっと昔からあるものの、男性のCAや女性の機長は珍しく捉えられてしまう時代が長かったように思います。またダイバーシティの意味、外資系企業レベルで東急が理解してきてるように感じ、それも微笑ましいなと感じました。転職したいくらいです。