なぜその場所に? 街から離れた「ポツンと始発駅」その事情を捜索

 地形や予算の関係で、目的地の手前にポツンと終着駅・始発駅が造られたケースは、その不便さが災いして多くが廃止の憂き目にあっています(例:信濃川を越えて市街地に路線を延ばせなかった新潟交通電車線の白山前駅、予算が尽きて足助まで延伸できなかった名鉄三河線の西中金駅など)。

 繁華街のかなり手前に始発駅を造った福岡市交通局七隈線の天神南駅(福岡市中央区)は、既存の中心駅である博多駅(同・博多区)への延伸工事が進んでいます。似た動きとしては、上毛電気鉄道上毛線をLRT化したうえで、始発駅の中央前橋駅(群馬県前橋市)から1kmほど先のJR両毛線 前橋駅(同)まで延伸する計画があります。上毛線は特に近年乗車人員が落ち込んでいますが、沿線の高齢化もあり路線を維持するために接続を改善し、利用増につなげたいところです。

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高松琴平電気鉄道の高松築港駅は、ホームの隣が高松城の石垣(2018年9月、宮武和多哉撮影)。

 また、高松琴平電気鉄道(ことでん)琴平線の高松築港駅(香川県高松市)は、近辺の再開発の際に、400mほど延伸しJR高松駅前に乗り入れる計画がありました。ふたつの駅のあいだには交通量の多い中央通りがあり、高架で直接結ぶことは相当な利便性の向上となったはずですが、検討された時期に高松琴平電気鉄道が経営再建中だったことや、予算不足もあり実現しませんでした。現在の高松築港駅は海沿いに築城された高松城の敷地にあり、全国でも珍しい「間近にお堀と石垣がある駅」は、計画の中止により取り壊しを免れ、いまでも電車を待ちながら、お堀を泳ぐマダイを眺めることができます。

【了】

【写真】時間からも「ポツン」と取り残された始発駅

Writer: 宮武和多哉(旅行・乗り物ライター)

香川県出身。鉄道・バス・駅弁など観察対象は多岐にわたり、レンタサイクルなどの二次交通や徒歩で街をまわって交通事情を探る。路線バスで日本縦断経験あり、通算1600系統に乗車、駅弁は2000食強を実食。ご当地料理を家庭に取り入れる「再現料理人」としてテレビ番組で国民的アイドルに料理を提供したことも。著書「全国“オンリーワン”路線バスの旅」など。

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