県内バス全無料化「1世帯月1000円負担で可能」 熊本で1日やってわかったこと
バスは軒並み超満員! 「無料だから乘ってみた」人多数
「無料の日」の朝、県内各地から熊本市街に到着する路線バスは軒並み、乗降口のステップまで超満員でした。午後には、道路中央部に設けられた市電の停留所から、電車を待つ人が車線にあふれかねない混雑ぶりに。サクラマチの1階に新設された桜町バスターミナルでは、夕方以降、全ての乗り場に帰宅客の長い列ができ、各事業者から応援に出た社員らが整理に追われました。
しかし、単に「大勢にバスを利用いただいた」というだけではもったいない話です。そこで、熊本大学の溝上章志教授や熊本市のサポートを得て、ヤフーのデータソリューションサービスのチームや、交通分析を得意とするトラフィックブレイン社(東京都千代田区)らがビッグデータの分析を行いました。バス、電車の利用実績のほか、県警が提供する交通量、ヤフーが提供する人の流れを示すデータ、商店街の来訪者数など数多くのデータを総合的に分析したのです。
その結果は、大変興味深いものです。まず、当日のバス、電車の利用者数は約25万人と、ふだんの土曜日の2.5倍になりました。サクラマチのほか、老舗百貨店や大きな商店街が並ぶ中心市街地の来訪者数は1.5倍に増加。とりわけランチタイム(12時台)には約2倍を記録しました。九州産交グループでは、「無料の日」の経済効果を約5億円と推計しています。
その一方で、渋滞の長さ(最大渋滞長)は59%も減少しました。バスの乗客アンケートでは、「日頃は公共交通を利用しない」人が約36%を占めています。現実に、乗車時に整理券の取りかたがわからない乗客も目立ち、「無料だから乗ってみた」という人が多い印象を受けました。
むろん、「無料の日」をいちど実施したくらいで、通勤や買い物にクルマを使っている人がいきなり公共交通を使うようになるとは思えません。しかし、きっかけさえあれば、普段は使わない人がバスに乗ってくれるし、郊外のモールではなく中心市街地にも出向いていく、ということを示した意義は大きいと考えられます。九州産交グループも、「公共交通の利用促進や渋滞緩和に、一定の手ごたえを感じる」としています。
バスタ新宿は、高速バス専用のターミナルとしては日本最大であって、
市内バスも含むバスターミナルとの比較は無意味だと思う。
おもしろい社会実験。 1回だけでなく、毎月や曜日を変えるなど10回くらい行なってみると、本当に需要があるのか、何が起こってくるのか、が分かってくると思う。 交通量の減少(時間短縮)、高齢者の運転の減少、排出ガスの減少など、効果(実効)の規模も見えてきて、実現性が高まる(やらない?)と思う。