「超長距離夜行バス」5選 日本最長は?「はかた号」しのぐ片道1110km 所要約16時間も

長距離夜行バスは減少傾向 しかし新たな動きも

 2010年代に入り、長距離夜行高速バスの路線休廃止が相次いでいます。かつてバブル崩壊後の1990年代後半に路線淘汰の波が訪れ、運行距離で日本2位だった名古屋~鹿児島線「錦江湾号」などが廃止されましたが、昨今、2度目の波が押し寄せているといってもよいかもしれません。

 その要因は「新幹線の利便性向上」「LCCの台頭」「長距離フェリーの利便性向上」といった外部環境の変化に加え、最近では深刻な乗務員不足で運行を断念せざるを得ないケースが顕著になっています。この結果、関西と九州を結ぶ夜行路線が大幅に減少したほか、名古屋~九州間にいたっては、もともと8路線あったものが1路線にまで減りました。

 一方で新しい動きもあります。西日本ジェイアールバスは2019年6月に、北陸(富山、金沢、福井)と四国(徳島、高松、高知)を結ぶ夜行高速バス「北陸ドリーム四国号」をジェイアール四国バスと共同で、同年12月には北陸と山陽(岡山、広島)を結ぶ「百万石ドリーム広島号」を中国ジェイアールバスと共同で、それぞれ開設しました。ともに約12時間を走る路線ですが、利用は堅調に推移しているといいます。

 当時、北陸と四国・山陽を直結する交通機関はほぼ皆無で、この区間はライバルとなる他社のバス路線も不在でした。バス会社はそこに目を付けたのです。また、夜行バスではふたりの運転士が数時間おきに交代してハンドルを握るのが一般的ですが、新設の2路線は途中の西日本ジェイアールバス京都営業所を境に、以東を同社が、以西をジェイアール四国バスまたは中国ジェイアールバスの運転士が受け持つという、交代制の完全ワンマン運行を実施しています。「車内での仮眠ではなく、宿泊施設で休養を取れる」「効率的な乗務員運用が組める」といったメリットを生かした、広域連携が可能なJRバスならではの路線開設といえましょう。

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富山から約12時間かけて高知駅バスターミナルに到着した「北陸ドリーム四国号」西日本ジェイアールバス便(須田浩司撮影)。

 夜行高速バスを取り巻く環境はかつてないほど厳しさを増していますが、「北陸ドリーム四国号」「百万石ドリーム広島号」のように、ほかの交通機関では行きづらい場所や、これまで路線がなかった場所で新設する動きも出てきています。もしかすると「隠れた夜行需要」はまだあるのかもしれません。

【了】

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Writer: 須田浩司

自称「高速バスアドバイザー」。運行管理者資格所有。高速バス乗車1100回以上。 紙原稿・ネット原稿・同人誌・ブログなどを通じてバス・鉄道を中心とした 「乗りもの旅」の素晴らしさを伝える活動を行う。北海道在住。

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コメント

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2件のコメント

  1. 同じ値段かそれ以下ならLCCに流れるわね。
    バス常連者が新幹線に乗り換える事は、余程の事(満席)が無いと乗り換えらんよ。

  2.  ボクは20年ほど前に一度乗ったきりなんだけど、14時間以上の所要時間が全く苦にならないほど快適だったのを覚えている。特に帰りの便ではこのまま鹿児島あたりまで行ってくれないかな、と思ったほど(笑)。次はいつ乗るか分からないけど、これからもずっと走り続けて欲しい。