佐賀「国際空港」って? 実態とギャップ「国際空港」の愛称が増えたワケ 裏に思惑?

佐賀&仙台 なぜ「国際空港」と名乗るように?

 ただ、佐賀空港や仙台空港が自らを「国際空港」と名乗るのは、空港を運営する側の思いが込められていると言えるかもしれません。

 佐賀空港は2016(平成28)年、「有明佐賀空港」から「九州佐賀国際空港」へ愛称が変更されました。これには裏事情があるようです。前述の様に、北海道(新千歳)、関東(成田)、中部(セントレア)、近畿(伊丹・関西)には日本を代表する空港が設置、運営されており、九州でも九州国際空港を設置しようという動きが1990年頃から起こりました。

 ただ九州の空の玄関口、福岡空港の収容力が不足することが予想されたため、新空港は玄界灘などが有力な候補地とされた一方で、佐賀県も積極的に県を挙げてこれを誘致することとしました。佐賀県は、候補地のひとつに佐賀空港をあげています。九州国際空港のプランは、福岡空港の拡張という形で妥結され、現在凍結となっていますが、この改称は、佐賀県側が九州国際空港へのアピールを図ったのではと、筆者は勘ぐっています。ちなみに、空港法においては地方管理空港で、正式には佐賀空港のままです。

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仙台空港(画像:写真AC)。

 仙台空港は、空港法における国管理空港で、元は第2種空港に分類されていました。2016(平成28)年に、ターミナルビルは国内で初めて民営化され、仙台国際空港株式会社が運営しています。2011(平成23)年に発生した東日本震災後、宮城県が仙台空港の民営化を打ち出し、国際線にも力を入れる意味で「仙台国際空港」という愛称を起爆剤としようとした、とも考えられます。

 空港法上は、「国際空港」を称する場所でなくとも、第1種から第3種の計82空港すべてにおいて、愛称として「国際空港」と名乗ることが可能で、設備が整えば国際線を就航させることができますが、現在は新型コロナウイルス感染拡大下。国際線を以前のように飛ばすのは難しい状況です、いつか国内線のみならず、日本中を国際線が飛び交う状態に戻って欲しいと感じているのは、筆者だけではないと思います。

【了】

【佐賀空港の裏側】無人車両が行き交う「超未来」!?

Writer: 種山雅夫(元航空科学博物館展示部長 学芸員)

成田空港隣の航空科学博物館元学芸員。日本初の「航空関係専門学芸員」として同館の開設準備を主導したほか、「アンリ・ファルマン複葉機」の制作も参加。同館の設立財団理事長が開講した日本大学 航空宇宙工学科卒で、航空ジャーナリスト協会の在籍歴もある。

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コメント

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3件のコメント

  1. 最初に”かつては5つのみだった「国際空港」”と書いてあるのに、本文では”古くから「国際空港」と呼ばれている空港は、成田(旧:新東京国際)、羽田(東京国際)、伊丹(大阪国際)、関西(関西国際)空港の4つです。”とあるのはこは如何に?
    名古屋空港とその後にできた中部国際空港とを混同しているのでは?

  2. ありがとうございます。いわゆる田舎の腐った根性といったところでしょうか。国際線も韓国線ぐらいや、チャーター便しかない田舎のくせして自称国際空港と名乗って大都市圏空港(羽田,成田,大阪関西,名古屋中部,札幌新千歳,福岡[空港運営会社は「福岡国際空港」ではあるが、現在福岡空港は大規模な改装工事中で完成すると正式に「福岡国際空港(愛称:空人(そらと)※仮称」に変更予定])と同等とか言う気分になったつもりでしょう。

  3. 仙台空港は高台移転しないんですね(松島基地も)。