「さんふらわあ」なぜ“東西統合”へ? それが合理的な理由 2隻体制になったLNG燃料フェリー

会社としても新時代…と思ったら「合併」へ なぜ?

 LNG燃料船の2隻体制という新たな時代に入った「フェリーさんふらわあ」ですが、2023年10月1日に商船三井フェリー(東京)と統合し新会社となることが決まっています。

 フェリーさんふらわあはライバル同士だった関西汽船とダイヤモンドフェリーが合併して誕生しました。大阪~別府、大阪~志布志、神戸~大分の3航路にフェリーを投入しています。一方で商船三井フェリーはブルーハイウェイラインと九州急行フェリーの航路を引き継いでおり、大洗~苫小牧でフェリーを、東京~苅田と東京~博多でRORO船を運航しています。このようにルーツが違う会社が1つにまとまることになるのです。

 商船三井は商船三井フェリーの大洗~苫小牧航路向けにも、LNG燃料船2隻を内海造船へ発注しており、2025年にはグループ全体で計4隻のLNG燃料フェリーを運航することになります。

 大洗~苫小牧航路のLNG燃料船は深夜便、「さんふらわあ だいせつ/しれとこ」(2001年建造、旧れいんぼう べる/らぶ)の代替船となります。LNG燃料エンジンはバルチラ製の4ストロークエンジン「バルチラ31DF」を2基搭載した「くれない/むらさき」と違い、苫小牧航路の新造船には低速エンジン1基が搭載されます。また、船首が丸みをおびた流線形になるのが、外観上の大きな特徴です。

 商船三井は経営計画「BLUE ACTION 2035」の中で、クルーズ船やフェリーを含めた「ウェルビーイングライフ事業」を、収益の変動が大きい海運分野に次ぐ柱に育てることを目標に掲げています。商船三井フェリーは、フェリーさんふらわあを統合することにより、国内最大のフェリー・内航RORO船会社に。また、商船三井客船のクルーズ船についても相次いで新船の導入を発表しており、事業規模の拡大を図ります。

 フェリー2社合併の直接的な理由のひとつは、グループのLNG燃料フェリーが4隻体制となることがあげられます。

 さんふらわあが運航するLNG燃料船のバンカリングは、複数台のタンクローリーと船を同時に接続し短時間で補給を行う「トラック・ツー・シップ」方式で実施しています。「くれない/むらさき」の就航時点のバンカリング拠点は別府港だけですが、今後は大洗港と苫小牧でもLNG燃料の補給が行われるようになるため、別々の会社に分けて運航するよりも、1社にまとめた方がLNG燃料を扱う上での課題や知見を共有化しやすいと判断したとみられます。また、CO2の排出削減に向けて、RORO船でもLNG燃料を使用した船を新造する可能性は十分に考えられるでしょう。

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さんふあわあ くれないへのLNG供給。別府を拠点に行っている(深水千翔撮影)。

 さらに、統合することで燃料や部品の調達、運航の効率化が可能になり、利用者としては2社に分かれていた「さんふらわあ」の予約サイトの一本化が期待できます。

 定期航路で豪華な船旅を気軽に楽しめる「カジュアルクルーズ」を掲げて来た「さんふらわあ」ブランドは、新たなステップへ踏み出そうとしています。

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