「公共交通なのにアトラクション」消滅間近…特殊すぎる鉄道「スカイレール」に大興奮のワケ 全部珍風景!

知れば知るほど魅力にあふれた鉄道でした。

2024年4月末に廃止 乗ってみた結果は

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広島市にある「スカイレール」(画像:写真AC)。

 2024年4月末、広島県にある公共交通がひっそりと廃止されます。JR山陽本線の瀬野駅から、丘陵上のニュータウンまでをむすぶ「スカイレール」です。

 廃止の日が近づくなか、現地を訪れたのは交通系Youtuberの「がみ」さん。まず改札を抜ける瞬間から「まるで図書館のよう」と興奮気味です。QRコードの紙片を読み込むだけの簡素な改札機は、沖縄・那覇市を走るモノレール「ゆいレール」のかつての改札機にも似ています。

 車両は「ゴンドラ」というべき、向かい合わせ座席1組だけの設備。しかし軌道は立派な鋼桁が続き、右に左に曲がったり、勾配が地形に合わせて自在に変化する線形は、ロープウェイとはかけ離れてほとんど懸垂式モノレールです。

 ところが実際、車両はロープで引っ張られて動くといいます。橋桁でしっかりガイドすることで、横風を受けても安定するなどのメリットがあります。

 さらに変わり種なのは、駅の発着時にはロープ式駆動をやめて「リニアモーター自走式にスイッチする」という点です。加減速をスムーズにして定時運行しやすくするなどの目的があります。それは車内でも分かり、地下鉄大江戸線などのように「キィィン…」という高いモーター音が聞こえてきます。「まるでアトラクションですね。まるで遊園地のようで、毎日通勤で使っている人は楽しそうです」(がみさん)

 乗車中、がみさんの注目は車窓に向いています。まず、起点のみどり口駅を出てすぐに立ちはだかる「263パーミル」もの超急勾配です。ケーブルカーを作るには平面移動が多く、ロープウェイは風に弱い…それでいて丘陵の高低差を駆け上がるスペックを満たすために開発されたのが「スカイレール」の特殊な構造だったのです。

 あまりにも特殊で高スペックな構造、さらに一点ものというのもあり維持コストも割高であることから、やはり営業収支が悪化。電気バスでの輸送に転換することが決まったのが2022年11月のことでした。

 見納めが近い、この不思議な乗りもの。がみさんは「どこを切り取っても景色が映える。鉄道ファンにはたまらない絶景です」と興奮。丘陵上の風景は瀬野駅からは変化し、226mもの高低差を感じさせます。しかし決して秘境というわけではなく、線路と住宅地が並ぶ風景は、公共交通機関そのもの。それががみさんの琴線に触れたようです。

【了】

【画像】えっ…!これが「スカイレール」です

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