目的は「闇に紛れて飛ぶ」ほとんど“スパイ作戦専用”な軍用機があった! ただ、めちゃ遅い!

一般に飛行機はスピードが速く、航続距離が長い方が高性能とされます。しかし第2次世界大戦中、低速ながら重用されたイギリス機がありました。しかも同機は戦局を左右しかねないほどの重要任務に投入された可能性もあったようです。

第2次世界大戦で重用された「鈍足機」

 ヘリコプターの色は民間ならば様々、軍用ではおおむね緑や迷彩がメインですが、“とにかく真っ黒”も存在します。それは、夜間の隠密作戦や特殊作戦で夜空に溶け込む必要がある特殊部隊が使用する機体です。

 ヘリコプターが実用の域に達する前は、同種の任務を航空機で行うこともありました。なかでも、特に第2次世界大戦でイギリス軍が特殊作戦用に使った航空機が、ウェストランド「ライサンダー」です。

 ただ、この「ライサンダー」、飛行機としてはあまりにも低速でした。

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イギリス空軍のウェストランド「ライサンダー」(画像:IWM)。

 第1次世界大戦で兵器として有用性を示した飛行機は、1920年代から第2次世界大戦勃発前の1930年代にかけて大きく進化します。ただ、高性能化するにつれ、離着陸のための滑走距離はどんどん長くなり、また滑走路も草っぱらではなく、整地され、場合によっては舗装路であることが求められるようになっていきました。

 しかし一方で、最前線などにおいて地上部隊と緊密に協力するような、それこそ現代のヘリコプターのように敵陣地の攻撃や前線偵察、負傷者の後送、高官の送迎などといった任務に使われる機体は、離着陸の距離が短く、草むらのような場所に降りられる性能も求められるようになります。

 このような任務に、当初は低速で滑走距離も短い初等練習機でもあてればよいと考えられましたが、練習機は搭載量が少ないというデメリットがありました。そこで、搭載量が多く速度も速く、不整地の離着陸性にも優れた専用機が求められるようになりました。

【これが全身真っ黒な機体か?】スパイ機「ライサンダー」を前後左右から見る

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