F-2後継機、無人子機搭載でなにをさせる? 「より高度な管制下で無人機の運用」とは

防衛省が描く将来の戦闘機のビジョンとは

 防衛省は2010(平成22)年8月に、将来の航空自衛隊の戦闘機に必要な技術を、どのように研究開発していくかをまとめたレポート「将来戦闘機の研究開発ビジョン」を発表しています。

 このレポートでは、F-2が退役を開始する20年後の実用化をめざす5つの技術と、2040年から2050年ごろの実用化を目指すふたつの技術の研究開発を進めていく方針が示されていますが、後者には有人戦闘機と無人航空機を連携して運用するための研究開発「将来アセットとのクラウド」が含まれていました。

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ボーイングが2013年に発表した「F/A-XX」のコンセプトCG(画像:ボーイング)。

 読売新聞の報道が事実であるならば、防衛省は有人戦闘機と無人航空機の連携運用能力の実用化を、20年ほど前倒しすることを決めたことになります。

 防衛省が有人戦闘機と無人機の連携運用能力の実用化を前倒しする決断を下したとすれば、その理由はアメリカとヨーロッパで研究開発が進められている、将来戦闘機の多くが、この能力を持つためなのではないかと考えられます。

 アメリカ海軍は現在の主力戦闘機であるF/A-18E/F「スーパーホーネット」を後継する新戦闘機「F/A-XX」の検討作業を進めていますが、「スーパーホーネット」のメーカーでもあるボーイングが発表したF/A-XXのコンセプトCGには、F/A-XXが無人航空機と共に飛行する姿が描かれています。

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無人航空機との連携をセールスポイントとして掲げたエアバスの将来戦闘機コンセプトの概念図(画像:エアバス・ディフェンス・アンド・スペース)。

 フランスとドイツは4月25日に、ドイツ空軍のユーロファイター「タイフーン」と、フランス空海軍のダッソー「ラファール」を後継する新戦闘機の共同開発に合意しましたが、ドイツ側の担当企業となるエアバスが2017年に発表した将来戦闘機のコンセプト動画では、戦闘機からの要請を受け、A400M輸送機から発進した前方偵察型とTALDのようなデコイ型、そして地上攻撃型の無人航空機が、戦闘機からの指令を受けて作戦を遂行しています。

 こうした例からも、防衛省のF-2後継機と連携する無人航空機においても、前方偵察機型だけではなく、デコイ型や攻撃型が開発される可能性もあると筆者(竹内修:軍事ジャーナリスト)には思われます。

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