F-2後継機、無人子機搭載でなにをさせる? 「より高度な管制下で無人機の運用」とは

対人圧勝の無人機が実用化されない理由

 他方、現在研究開発が行なわれている無人戦闘用航空機は、空対空戦闘を行なえるほどのエンジン出力や機動性、運動性は求められておらず、空対空戦闘を行なえる無人航空機の実用化の目処は立っていません。

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フランスのダッソーが開発した無人戦闘用航空機の技術実証機「ニューロン」(竹内 修撮影)。

 アメリカのシンシナティ大学が開発した戦闘機用人工知能(AI)の「ALPHA」は、元アメリカ空軍の戦闘機パイロットとの空対空戦闘シミュレーションで圧勝しており、将来は空対空戦闘を行なう無人機も登場するものと思われますが、たとえば国籍不明機に対するスクランブル(緊急発進)といった、平時と有事のグレーゾーンにある任務にAIが制御する戦闘機を投入し、AIの判断ミスによる攻撃によって戦争が勃発した場合、誰が責任を取るのかといった、倫理的な問題も残されています。

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中国のスターUAVシステムが開発を進めている無人戦闘用航空機「スターシャドウ」の大型模型(竹内 修撮影)。

 アメリカで政府関連事業の評価を行なっている戦略予算評価センターは、伝統的に戦闘機パイロットが重視されるアメリカ海軍では、無人機に対する反発が大きいという報告を発表しています。これは海軍だけでなく空軍も同様で、アメリカ空軍の機関誌『エアフォース・マガジン』によれば、有人機から無人機に配置転換されたパイロットの多くが大きな不満を抱えていると報じており、空対空戦闘を行なう無人航空機の導入には、このような軍の「文化」も、大きな障壁になるのではないかと思われます。

【了】

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