道ならぬ「酷道」、国道の「車両通行不能区間」とは 登山道やけもの道、解消工事進む
「国道」のイメージを裏切るような、通行に注意が必要な国道は、愛好家のあいだで「酷道」と呼ばれます。その最たるものが、そもそもクルマが通行できない「車両通行不能区間」です。この区間を解消する工事が各地で進められています。
車両通行不能区間、実態は?
岐阜県と福井県を南北に結ぶ国道417号の、両県境部に位置する冠山峠(かんむりやまとうげ、岐阜県揖斐川町~福井県池田町)付近にて2019年5月下旬、福井県側から掘り進めていたトンネルが、4年の歳月をかけ県境部まで到達しました。これは、冠山峠付近の車両通行不能区間を解消する工事で計画されている、2本のトンネルのうちのひとつで、もう1本は2017年8月に貫通済みです。
「車両通行不能区間」は文字通り、クルマが通れない区間で、地図では途切れたように表現されます。国の重要な道路という「国道」のイメージとは裏腹に、細く、すれ違いも困難なような道は、国道ならぬ「酷道」とも呼ばれますが、車両通行不能区間は、その最たるものといえるかもしれません。実態としては登山道に近いような区間、あるいはそのような道すら存在しない区間です。
国道417号「冠山峠道路」工事を担当する国土交通省 福井河川国道事務所によると、この区間には並行して19.4kmの林道があり、そちらを通ることで往来は可能ですが、林道はクルマ1台ぶんほどの幅しかなく、急カーブや急勾配の連続、そして冬季閉鎖と、幹線道路の代替路としての機能に乏しいといいます。
冠山峠の福井県側に位置する福井県池田町は、隣接市町をつなぐ主要道路も冬季閉鎖区間や車両通行不能区間があるなど脆弱で、豪雨災害により道路が寸断され孤立したこともありました。福井河川国道事務所は、国道417号の岐阜県側との通行を確保することで、緊急時における安定的な救援ルートを確保するとともに、広域的には岐阜県大垣市と福井県鯖江市を結ぶ最短ルートとして、北陸道や国道8号の迂回路になるとしています。
なお、国道417号の車両通行不能区間はあくまで法令上の想定ルートであり、一部は登山道として形があるものの、道として全く整備されていないのが実態だそうです。
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