バーティゴも体験 日本とASEAN、初の空軍パイロット交流会実施 その本当の目的は…?

とはいえ「最前線」は見学しないワケ

 各国の参加者は、若手ファイターパイロットからベテランと思しき士官まで多岐にわたっていました。たとえばラオス空軍中佐は、さかんに写真のシャッターを押すようこちらに頼んでくるなど、リラックスしている時間もありましたが、一転して関心の高いプログラムになると同一人物とは思えないくらい真剣になり、さすが現役空軍パイロットだと思わせます。物料コンテナの梱包作業の様子も見学できたのですが、間近に見る機会は少ないらしく、非常に熱心に見入っていたのが印象的でした。

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物料の梱包作業はなかなか見る機会がないとあって、参加者は間近で真剣に見つめていた(月刊PANZER編集部撮影)。

 日本の海上自衛隊とASEANの海軍種「海の男」の交流は、すでに「日ASEAN乗艦協力プログラム」として行われています。今回の「PAP」と共通するワードが「インド太平洋地域における『法の支配』の貫徹」です。これが何を意味するのか、公式には「中国」の名前はひと言も出てきませんが、参加者全員が強く意識していることは間違いないようです。

 このプログラムは実務性よりも、むしろ日本とASEANで軍事面でも様々なレベルで交流を深めていることを対外アピールする意味があります。一方で中国に対するスタンスは、国によって個別事情を抱えています。現在の日本の周辺事情を空軍関係者に知らせるなら、沖縄の那覇基地を見学するのが最適だと思えますが、あえて「最前線」に行かないことも、日本側が各国と中国の関係に配慮したことかもしれません。

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プログラムの合間に基地内売店でショッピング(月刊PANZER編集部撮影)。
美保基地司令塩川1等空佐を表敬(月刊PANZER編集部撮影)。
今回のプログラムを支援した第403飛行隊との記念撮影(月刊PANZER編集部撮影)。

 次回の「PAP」は来年、シンガポールで開催される予定となっています。

【了】

※一部修正しました(8月8日11時30分)

【写真】ほぼ全員がスマホを構えたC-2から物料投下の瞬間 ほか

Writer: 月刊PANZER編集部

1975(昭和50)年に創刊した、40年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。

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