「東京メトロの中古車、譲って!!」地方鉄道が欲しがる納得の理由 “隠れメトロ車”までいる!?

こんなところに元・営団!?

 もっとも、大手会社は所有する車両の絶対数が多い点も見逃せません。新型車両を導入すればその分、廃車もたくさん発生します。中小私鉄にとっては手ごろなサイズの車両を大量に入手できる機会であることも、結果的に多くの東京メトロの車両が他社線で「第二の人生」を歩むことにもつながったのです。

 ところで、譲渡された車両の中には一見すると東京メトロの車両には見えない「元・東京メトロ」の車両も存在します。それは富士急行線で「富士登山電車」として運行している1200形です。

 姿かたちは元・京王電鉄5000系電車なのですが、実は台車とモーターは日比谷線の初代車両である営団3000系電車のものを装備しています。これは京王線の線路幅が1372mmである一方、富士急行線の線路幅は1067mmと合わないため、足回りのみ3000系へ取り換えたのです。こういった一部分だけの譲渡は、ほかにも大井川鐵道や長野電鉄、富山地方鉄道でも見られました。

 3000系は304両も製造されて予備パーツも多く確保できるため、整備体制を充分に確保できない中小私鉄にとっては修繕に際しても大きなメリットです。実際、長野電鉄では約30年の長きにわたって3000系を運用できました。

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台車とモーターだけ営団3000系の富士急行1200形電車。営団3000系の足回りは多くの中小私鉄で再起した(2012年6月、児山 計撮影)。

 2023年12月現在で発表されている元・東京メトロ車両の譲渡計画は、上毛電鉄向けの3編成6両で一段落といった感じですが、「一部のみ譲渡」といったケースは今後もあるかもしれません。

【了】

これが上毛電鉄カラーの東京メトロ車両です(画像)

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Writer: 児山 計(鉄道ライター)

出版社勤務を経てフリーのライター、編集者に。教育・ゲーム・趣味などの執筆を経て、現在は鉄道・模型・玩具系の記事を中心に執筆。鉄道は車両のメカニズムと座席が興味の中心。座席に座る前に巻尺を当てて寸法をとるのが習慣。言うなれば「メカ&座席鉄」。

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