〈PR〉日本人乗客倍増の背景は? いま注目高まる韓国旅行の新基準「パンスタードリーム」

2016年に入り、昨年同期比で2倍以上の日本人利用者を集めた国際フェリーがあります。大阪と韓国の釜山を結ぶ「パンスタードリーム」です。この大幅な数字の伸び、裏にいったい、どのような要因があるのでしょうか。

弱点は「知られていないこと」

 2016年に入り、昨年同期比で2倍以上の日本人乗船客を集めた国際フェリーがあります。大阪と韓国の釜山を結ぶサンスターライン社の「パンスタードリーム」です。

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大阪南港と韓国の釜山港を、瀬戸内海を経由し19時間で結ぶ「パンスタードリーム」(写真出典:サンスターライン)。

 大阪港のどまんなか、地下鉄中央線のコスモスクエア駅(大阪市住之江区)から出ている15分に1本の無料シャトルバスに乗ると、すぐに「パンスタードリーム」のキュートな船体が見えてきました。大阪と韓国の釜山を19時間で結ぶこの船は、長さ160メートル、幅25メートルと、日本の豪華客船とほぼ同じ大きさ。建築家の安藤忠雄さんによる設計で、建築物としても有名な逆円すい形のビル「大阪国際フェリーターミナル」から、月曜日と水曜日は15時、そして金曜日は仕事終わりに週末の旅へ出かけやすいよう、17時に出港します。

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建築家の安藤忠雄さんにより設計された、逆円すい形が特徴の大阪国際フェリーターミナル(若勢敏美撮影)。

 筆者(若勢敏美:船旅事業研究家)が訪れたこの日、ターミナルのロビーは日本観光から帰る韓国人グループや、生活航路としてこの船を使うおばちゃんやおじちゃん、そして学生なのか、若き韓国の少年、少女たちであふれ、もはやそこは韓国でした。

 ただ先述の通り、日本人の乗船客も最近とみに目立っているそうです。

「毎回、韓国人300人に対して日本人は50人くらいですね」(サンスターライン 片倉敦美旅客本部長)

 確かに韓国語が飛び交うなか、熟年のご夫婦や女子旅のグループ、学生の団体、恋に破れたのか若い男性のセンチメンタルジャーニー風など、日本人らしき乗客の姿が見受けられます。2016年1月から8月の日本人乗客数は5084人で、昨年同期(2152人)と比べ実に2.36倍もの数を集めています。

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「パンスタードリーム」船内のフロント。もちろん日本語で対応してくれる(若勢敏美撮影)。

 この驚異的な数字の伸び、背景には2015年よりサンスターライン社の野瀬和宏専務が中心となってスタートさせた積極的な宣伝戦略がありました。

「この船『パンスタードリーム』の弱点は『旅の中身が知られていないこと』で、とりわけ関西以外ではまったく知名度がありませんでした。そこで、とにかく知っていただくことから始めようと。乗っていただければ、この旅の良さはすぐに分りますから。ターゲットは日本全国の全階層です」(サンスターライン 野瀬和宏専務)

 そして、成果はすぐに表れました。

関西の「一歩先」は釜山

 日本で「船旅」といえば、高齢者向けの退屈な旅、あるいは豪華客船によるリッチな旅というイメージが強いようです。そして「フェリーの旅」といえば“雑魚寝キャビン”を思い出すわけですが、「パンスタードリーム」のPR方針はひと味違いました。

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「クルーズゾーン」(後述)の特別食で味わえる韓国の味、石焼きビビンバ(若勢敏美撮影)。

 学生や若者のひとり旅から女子旅、熟年の余裕世代、そして高級外車で韓国に渡りたい富裕層までのあらゆる世代に訴えるべく、こうしたターゲット層が読む雑誌やメディアへ積極的に広告を展開。また、より目に付きやすくするため、旅行会社の販売ルートへ乗せることを目指したうえ、全国から京都や大阪、神戸などを訪れる観光客に向け、「“もう一歩先の釜山”まで足を伸ばす」という旅のプランを提案したのです。

 具体的には次のようなものでした。

多様なオプション 手軽、自由、そして柔軟な「パンスタードリーム」

●4日間で1万3800円から!? 衝撃価格を実現した旅行会社のパッケージ
 H.I.S関西が商品化した「瀬戸内海絶景クルーズで行く! プサン4日間」は衝撃的でした。若年層や熟年カップル、家族連れなどを対象に、毎週金曜日に大阪南港を出発し、食事こそ付きませんが、フェリー往復と釜山のホテル1泊で1万3800円から1万9800円という驚きのプライスだったのです。

 2800円の追加料金で夕、朝食バイキング(計4食)、4500円以上の追加料金でキャビンクラスのアップグレードといった多様なオプションも用意され、“韓国旅行の新しいスタンダード”を提供しました。

 こちらはH.I.S以外にも、阪急交通社やクルーズのゆたか倶楽部が出発日指定でパッケージツアーを販売。またグルーポン、くまポン、ポンパレなどのクーポンサイトでもしばしば、こうした格安ツアー商品が販売されます。

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「デラックススイート」の客室。トイレは温水洗浄便座を備えるほか、テレビは釜山港近くでも日本の放送が見られる(若勢敏美撮影)。

●とにかくお安く、自由に!
「パンスタードリーム」に関する問い合わせで増えているというのが、帰りをオープンチケットにした若者のひとり旅や少人数の旅行。船賃だけなら片道1万3000円(スタンダードA、5人部屋)のところ、学生なら学割を効かせて1万400円で乗船OK。大阪のターミナル近くにはコンビニがあるので、ここで食べ物を仕入れれば、リーズナブルにプチ冒険旅行ができます。

 もちろん、2800円(事前購入)の追加料金で夕、朝食バイキングも利用可能。釜山のターミナルからは、徒歩15分でKTX(韓国高速鉄道)も発着する釜山駅。そのまま韓国へディープにはまれます。

大きく2タイプに分けられる客室、好みに応じて

●「女子会」にいかが?
 女性誌『HANAKO』でPRしたのは「女の子同士で出かける釜山プチ旅行の勧め」。月曜日と水曜日出発なら、5時間ほどの釜山港停泊中に市内の国際市場あたりでショッピング、といった軽いノリで乗船する2泊3日の旅も可能です。

「パンスタードリーム」を運航するサンスターライン社によると、予想外だったのは「歴女」や「釜山映画祭」に出かけて行く若者の乗船だったとか。釜山港からは新羅の古都である慶州や西海岸の光州、麗水、そしてソウルへのアクセスも良好です。船中にはエステや海の資源を活用したアロマテラピー(いずれも別料金)、免税店などがありますから、その点でも「パンスタードリーム」は女子旅にうってつけかもしれません。

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夕食後のショータイム。ほかにカラオケ大会など多彩な催しも行われ、乗客を飽きさせない(若勢敏美撮影)。

●「とにかく韓国」という全年齢層にオススメな「フェリーゾーン」の旅
「パンスタードリーム」の客室は、ゴージャスさが特徴の「クルーズゾーン」と、気軽さが特徴である「フェリーゾーン」の大きく2タイプに分けられます。

 そのうち、NHK『テレビでハングル講座』のテキストや、『地球の歩き方』(ダイヤモンド社)の韓国版を見て「パンスタードリーム」を知った人たちが多く選ぶクラスという「フェリーゾーン」は、気軽さが特徴とはいえ、いわゆるフェリーにありがちな大部屋ではないのがポイント。5人部屋(スタンダードA)から2人用キャビンまで、同行者に合わせて多様なランクが用意され、もちろん学割も適用できます。海の見える大風呂でのリラックスタイムも好評です。

 有料ですが夕、朝食のバイキングもあり、クルーショーやカラオケ大会などの催しも多彩。取材した日には、日本人親子がカラオケ大会で賞を獲得していました。

「クルーズゾーン」には特別食 愛車で韓国ドライブ&ツーリングも可能

●熟年カップルに人気、「クルーズゾーン」の旅
 いま、日本の熟年カップルに一番売れているのが「クルーズゾーン」の旅。シャワー、温水洗浄機能付きトイレ、ツインベッドの「デラックススイート」クラスには、レストランの予約席も用意されており、大阪発では「鮑入り参鶏湯(サムゲタン)」、釜山発ではステーキコースも味わえます(フルサービスの場合)。

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「クルーズゾーン」の乗客のみが利用できるラウンジ「The PARADISE」(若勢敏美撮影)。

 暮れてゆく瀬戸内の景色や、釜山への入港風景を眺めながら、コーヒーなどのドリンクを楽しめるラウンジ「The PARADISE」の利用も可能で、ゆったりとした旅の気分を満喫できるでしょう。ここには『文芸春秋』のバックナンバーも備えられ、クルーズ中はほとんどの時間、Wi-Fiも使えます。

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「クルーズゾーン」乗客のみの特別食「鮑入り参鶏湯(サムゲタン)」(若勢敏美撮影)。

●自分の愛車で韓国へ リッチ層のオプション
 2016年の秋以降、「パンスタードリーム」で強力にプッシュされる予定なのが、大阪から釜山へ自家用車とともに移動し、朝鮮半島をドライブする旅のプランです。クルマの航送運賃は片道9万5000円からで、バイクは7万5000円から(運転者1人分の運賃を含む。別途、船室によってアップグレード運賃が必要な場合あり)。自分のクルマ、自分のナンバープレートで韓国の街中を走れるのです。医療従事者向けタブロイド紙『メディカルトリビューン』の高級車特集にも、この広告を出稿したとか。

 もちろん、すべてのクラスでカーフェリーとしての利用が可能ですが、特に注目なのは最上級客室「ロイヤルスイート」での旅です。たとえば車長6m未満のクルマと2名分の運賃は往復24万6200円で、「デラックススイート」と同様にレストランでの特別食が含まれているほか、「ロイヤルスイート」のみの特典として、「アロマテラピーハウス」の貸切風呂利用券が付いています。

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乗船を待つBMW。愛車による異国ドライブを楽しもうというワイルドな熟年も現れてきた(若勢敏美撮影)。

 取材時、駐車場にはBMWが止められていました。韓国でのドライブやツーリングを楽しむ人たちはいま、徐々に増え始めているとのことです。

本格的なお寿司と日本酒も まだまだ続く船旅の夜…

 船旅のなか、筆者がもっともくつろげたのは、「パンスタードリーム」最上階のデッキに備えられたカフェ「夢」でのひとときでした。夕刻から深夜まで、世界のワインやウイスキーを軽食とともに楽しむことができます。クラッシックやスタンダードの生演奏も楽しめ、興が乗り踊り出す人も。深夜には関門大橋も眺められました。

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本格的な江戸前にぎりと日本酒を堪能できる「瀬戸内寿司」(若勢敏美撮影)。

 そして、忘れてならないのは寿司バー「瀬戸内」です。21時を過ぎないとオープンしませんけれども、本格的なお寿司と日本酒を味わえます。別途料金が必要ですが、お寿司をつまんで、日本酒を寝酒に一杯ひっかけて……。

 いやいや、まだまだ夜は続きます。

・「パンスタークルーズ」
http://www.panstar.jp/

【了】

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Writer: 若勢敏美(船旅事業研究家)

1949年生まれ。業界紙を経て1980年、海事プレス社へ入社。1989年、雑誌『CRUISE』創刊に参画し、翌年から編集長。2008年、海事プレス社の社長へ就任。2012年退任。この間、取材、プライベートを含め35隻の客船に乗船して延べ55カ国を訪問。地方自治体や業界団体主催の講演会などに多数出席。

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