なぜタイヤは点検しなくちゃいけないの? 3台に1台は不具合 実情知った長女の場合〈PR〉
長女の目に、最新のタイヤ技術は実に興味深く映りました。べつに店員がイケメンだったからだけではありません。そしていま祖父の運転するクルマの車窓に、なじみのある黄色いのぼりが見えてきました。出会ったのは、プーさんみたいなタイヤ屋さんでした。
タイヤ点検の先に、オトナのプライドを垣間見た日
「うちのだ!」
後部座席で先に声をあげたのは、妹でした。指の先を目で追うと、そこには黄色ののぼりが幾本もはためいています。「タイヤ安全点検・DUNLOP」。その文字に、私も思わず声を出してしまいました。こんなところで会えるなんて。
連休を利用して、家族で祖父母の家に来たのは、昨日の夕方。お昼前に出たけれど、北陸道に入るまでが結構混んでいました。今日は、仕事を抱えてきた父と同窓会に出かける母をおいて、私たち姉妹と祖父母の4人で、ちょっと離れた道の駅まで出かけるところです。私も妹も、そこで飲めるご当地サイダーが大好き。
ここら辺は、うちの近くと違って、道も広いし、お店も大きい。なぜこんなものまで、と振り返りたくなるドライブスルーのお店もいっぱいあります。祖父の運転するクルマが、すいている道をスイスイ走るのは気持ちが良くて、私はここでお出かけするのが大好きです。
いろんな色に染まった山あいの道を走って、そして、道の駅の駐車場に入った途端、妹が窓の外に発見したのが、ダンロップののぼりだったというわけ。
私や妹の様子を横目に「そんなに珍しいものかねぇ」と、祖父がクルマを近付けて停めました。「タイヤ屋さんでしょ? うちのってどういうこと?」と聞く祖母に、「買ったの、こないだ! タイヤってみんな黒くて丸いけど、うちのは、カスタネットが静かになるんだよ!」というわけのわからない説明をする妹。ママも大声で怒らなくなったしね、と付け加えると、妹がクスクス笑い出します。
というのは、ちょっと前のお休みに、家族でタイヤの専門店に行ったのです。父がクルマを車検に出した時、タイヤの溝が減っていると言われたのがきっかけで、みっちりいろいろ調べた結果、買ったのがダンロップの「LE MANS V(ル・マン ファイブ)」でした。このタイヤには特殊吸音スポンジ「サイレントコア」が付いていて、空洞共鳴音というのを抑えてくれるんだそうです。こんなによく覚えているのは説明してくれた店員さんがイケメンだったからですが、それはともかく、その実験用にお店にカスタネットが置いてあり、サイレントコアのあるタイヤとないタイヤ、それぞれの内側でカスタネットをカチカチ鳴らして響きの違いを確認しました。音の大きさが変わるのが妹は楽しかったらしく、いまでもよくその話をします。タイヤが新しくなってから、確かにクルマのなかが静かになりました。スピーカーから音楽もよく聞こえるし、母も話す時に大きな声でわあわあ言わなくなったから、なんだか車内が平和になった感じ。「やっぱりパパのチョイスに間違いはないわね」と、どこか得意げに言う母は、かわいいと思います。言わないけど。
駐車場の一角にはテントがあって、黄色いベストを着た人たちが忙しそうに動いています。背中には「タイヤ安全点検」の文字。ぞろぞろ近寄っていく私たちに気付いて、おじさんがニコニコ迎えてくれました。
「こんにちは。いま、タイヤの安全点検を実施しています。空気圧のチェックなどを無料で行っています。5分程度で終わりますが、いかがですか?」
「どうしましょ、うちのタイヤ、ここのメーカーじゃないわよね」
祖父母が顔を見合わせているとおじさんは、「いえ、どこのメーカーのタイヤでも大丈夫ですよ」と丸い機械を持って、トコトコやってきました。丸いお腹と丸い機械と黄色いベスト。プーさんみたい。
空気圧。そういえば、あのイケメン店員さんも言っていました。タイヤには空気が入っていて、それは走るとどんどん減っていってしまうって。ちなみに、世界で初めて空気が入ったタイヤを実用化したのがダンロップなんだって。こないだ父と洗車場に行った時に、銀色の丸い機械で何かやってたけど、あれが空気圧のチェックだったはず。父はそういうの、すごくちゃんとしてて、「タイヤの減りが偏らないように、もう少ししたら装着位置を交換するんだ」って言っていました。それに比べて、祖父はクルマに無頓着って感じ。黄色いおじさんの背中を見ながら、私はちょっとハラハラ。パパのクルマなら、絶対合格なのにね。そう妹にささやくと、ぎゅっと手を握り返されました。
立ち上がったおじさんはやっぱりニコニコしながら、「ちょっと減っていますから、足しておきますね」と、何やら作業を始めました。やっぱり不合格ぅ、と祖父をひじでつつくと、「いやあ、普段、近所しか乗らないから、そんなに減らないと思って」とボソボソ。祖母も、「平らになってないし、まだたくさん入っていると思ってたわ」とモジモジ。黄色いおじさんは、「大丈夫、『不合格』とかではないですよ」と笑いました。
「タイヤの空気圧は、使い方に関わらず自然に減っていってしまうものです。自転車のタイヤのように、空気抜けが目で見てはっきりわかるものではないですし、本来1か月に1度は空気圧チェックをしてほしいですね。ダンロップでは、年に2回、全国47都道府県で、こうした『DUNLOP全国タイヤ安全点検』を行ってきました。今年で11年目になりまして、これまで約10万台を点検してきましたが、そのうちの3台に1台は不具合があって、そのほとんどが空気圧の異常なんですよ。空気圧以外は大丈夫ですから、今日こうして入れておけば、これからも安心してお乗りいただけます」
ちょっとほっとしながら、でもびっくり。そんなにたくさん点検していて、しかも3分の1のクルマに異常があったなんて。
「ほかのクルマもみんな、空気がなかったってこと?」
妹がいいトコついてきます。私もそれが知りたかったの。
「空気圧異常だけではありません。たとえば、縁石などと接触してできたキズや、経年劣化によるひび割れなど、タイヤの異常を発見することもあります。タイヤを長持ちさせるために、タイヤの状態をこまめに確認することも大切です。そのためにも、月に1度の空気圧チェックを習慣にしていただくと安心ですよ。空気圧が減っていると燃費が悪くなりますし、走行性能が低下したり、タイヤの減りがかたよる『偏摩耗』の原因になったりします」
おじさんの言葉に、「でも、自分でできるのかしら」心配そうな祖父と祖母。妹が、「私、空気入れ持ってるよ! 浮き輪をシュッシュッってふくらませるの! 貸してあげるねっ」と祖父の腕にぶら下がりました。それ、差し込み口が合うかなあ……。
「空気圧チェックの機械はガソリンスタンドにありますし、ディーラーさんで入れてもらうことも可能ですよ」
それでも顔を見合わせている祖父母。心配だったら、またおじさんに見てもらおうよ。
「ぜひそうさせていただきたいけれど、おじさん、普段は東京だからなあ」
へぇ、おじさんも東京の人だったんだ。
「普段は東京の本社オフィスにいます。でもこの『全国タイヤ安全点検』では、おじさんやえらい人も全国各地へ飛んで、こうして空気圧チェックをやっているんですよ」
おじさんはちょっと真面目な顔になって、祖父母を見ました。
「普段、仕事をしていると、自分たちが作った製品を実際に使ってくださっているお客様と密に話す機会や、使用状況を肌で確認することはなかなか難しいんです。我が社ではこうして、全国の会場に出向き、自分たちの手で安全点検を行っています。作り手の責任として、直接触れることで得られるものを大切にしたいと思っています」
おじさんは、私たちにニコニコ笑って言いました。
「一生懸命作ったタイヤだから、いい状態で使ってほしいんだ」
そうだったんだ。
世の中にはいろんな仕事があって、第何次産業とか、流通とか、営業とか、そういうことは社会の授業で習いました。でも、おじさんの言葉には、授業中にはピンとこなかった、なんていうか、「働くことのかっこよさ」みたいなものがありました。「作り手の責任」、なんだか、黄色いおじさんが急にかっこよく見えてきました。プーさんて思ってごめん。
おじさんはお土産に、祖父たちにはボックスティッシュとマスク、私たちには黄色いかわいいキーホルダーをくれました。キーホルダーはクルマのかたちで、夜道で光るようになっています。ランドセルにつけようねと妹と言い合って、黄色いおじさんに手を振りました。いっぱい、手を振りました。
きっとタイヤだけじゃなくて、たくさんの大人が、そういうことを思って、いろんなものを作ってくれているんだと思います。私も、ちゃんとしよう。「使い手の責任」って言葉があるかわからないけど、買ったものをいい状態で大切に使うこと、そういうことを心がけよう。帰ったら、父と母にも、この話をしよう。ご当地サイダーはやっぱりおいしくて、胸の中がスーッとしました。
■そのクルマの空気圧、大丈夫? 簡単にチェックできる「空気圧シミュレーション」
https://tyre.dunlop.co.jp/air_pressure/simulation/
【了】
Writer: 大西紀江(ライター/編集者)
静岡・伊豆出身のライター、編集者。乗りものオタクの総本山ともいうべき某出版社の編集を経て、フリーランスに。以来、自動車を中心に模型から時計まで、幅広く執筆&編集を手掛ける。象の調教師の免許あり。