オールシーズンタイヤは使えるの?ダンロップ オールシーズンマックスAS1で実走〈PR〉
突然の雪も使えると昨今話題の「オールシーズンタイヤ」。ダンロップが満を持して発売した「オールシーズンマックス AS1」の雪上性能を試すべく、都心から長野へ往復500kmのロングドライブを敢行し、その走りを試してきました。
「夏タイヤとして便利なオールシーズンタイヤ」という選択
ウインターシーズン、最近は東京都心部でも数年に一度くらいの頻度でまとまった降雪が発生しており、雪対策はクルマを持つオーナーにとって他人事ではありません。そこでいま注目度が高まっているのが「オールシーズンタイヤ」。今回は、発売されたばかりのダンロップ「オールシーズンマックス AS1」の実力を体感するため、往復500kmのロングドライブを行いました。
雪上を走れるといえば、多くの人はスタッドレスタイヤを思い浮かべることでしょう。雪が積もった圧雪路から路面が凍ったアイスバーンにまで対応できる、頼りになる冬のタイヤです。
とはいえ、冬の雪道に特化した性能になっているため、それ以外の路面は得意ではありません。いわゆる「夏タイヤ」と比べると、乾いた路面や濡れた路面での性能は劣ります。
そうした特性もあり、めったに降雪のない地域においては「そもそもスタッドレスタイヤを持たない、雪が降ったら運転しない」というのも、ひとつの選択肢でしょう。しかし、そのめったに降らない雪の日に限ってクルマが必要になった、というのもよくある話です。
「オールシーズンタイヤ」具体的にどんなタイヤ?
こうしたときに、もうひとつの新たな選択肢として挙げられるのが、昨今注目の集まる「オールシーズンタイヤ」。これは文字通り、乾いた路面から濡れた路面はもちろん、万が一の降雪時にも対応可能な、1年を通して履けるというタイヤです。
特に、乾いた路面や濡れた路面における夏タイヤとの比較では、なんら遜色のない性能を発揮、それでいて冬場の雪道もある程度までは安全に走行できるというものです。
その性能から見ると、「雪道も走れるけれど基本的には夏タイヤのバリエーション」というイメージになるかもしれません。よって、上述のような「めったに降雪のない地域」において、夏タイヤを購入する際の選択肢のひとつ、というのが、「オールシーズンタイヤ」の立ち位置になるでしょうか。
このように、便利かつ安心ということで近年、オールシーズンタイヤへの注目度が急上昇し、あちこちのメーカーから新製品が投入されています。
新開発コンパウンドと工夫のトレッドパターンで、夏から冬までの路面をカバー
そうしたオールシーズンタイヤのなかでも、2019年10月1日に発売されたばかりの新製品が、ダンロップの「オールシーズンマックス AS1」です。
このタイヤは、低温になっても硬くなりにくい新開発の「超マルチコンパウンド」を採用。タイヤのゴムが、常温では夏タイヤと同じくらいの硬さでありながら、雪の降るような低温でも柔軟性を残すため、夏の乾いた路面から濡れた路面、冬の雪道までも対応が可能となっています。
タイヤが路面に接するトレッド面には「Vシェイプ主溝」という、左右から中央に向かって斜めの溝が入っています。この溝の配置によって、水の排出性が高まっており、濡れた路面での確かなグリップ力を実現。ダンロップの夏タイヤ(エナセーブEC204)よりも排水容積は15%も高く、ウェットブレーキ性能で約10%も向上しているそうです。
また、Vシェイプ主溝の真ん中、タイヤ中央部には横方向に不揃いの溝(スイッチグルーブ)が入っており、この溝が雪道をしっかりとつかむ役割を担います。これに低温でも硬くならない「超マルチコンパウンド」をあわせることで、雪道での走行性能が大きく高まっており、雪上ブレーキ性能では夏タイヤ(エナセーブEC204)に対して49%も優れているとか。
さらにこのタイヤは「スノーフレークマーク」がついており、高速道路の「冬用タイヤ規制」時も走行可能な性能基準を満たしています。ただし、スタッドレスタイヤ同様、雪上走行の可否を示す「プラットフォーム」がタイヤ溝内にあり、そちらが露出した場合は雪上走行ができませんので注意が必要です。
そしてタイヤのトレッド面のブロックを小さくして配置することで、走行ノイズの発生を抑えています。夏タイヤ(エナセーブEC204)とのパターンノイズの差は0.3デシベル。1デシベルの差は約1.1倍といいますから、「0.3デシベルの違い」というのは、ほんのわずかな差といってよいのではないでしょうか。
不安や不満のないドライとウェットでの走り
実際のところ「オールシーズンマックス AS1」、その走りの実力はどうなのでしょうか。雪道を求めて2019年12月中旬に、東京都内から長野県のスキー場まで、往復およそ500Kmのロングドライブに出かけました。
出発地である東京都内は曇り。完全なるドライ路面です。走り始めに注意していましたが、ロードノイズの小ささは夏タイヤと遜色ありません。速度をあげれば風切り音にかき消されてしまう程度です。ステアリング操作に対するフィーリングは全体にソフト。都心部で繰り返される発進と停止にも、なんの違和感もありません。ほとんど夏タイヤと同じといえるような走り味でした。
都心部を抜け、高速道路で長野方面へ向かいます。速度を上げても「オールシーズンマックス AS1」の印象は、都心部で感じた「ほとんど夏タイヤ」と変わりません。直進性にも静粛性にも不満なし。それよりも路面の凹凸をソフトにいなす、乗り心地の良さが好印象です。
関越道から上信越道を走り長野市を越えると、空は一気に暗くなってポツポツと雨粒がフロントガラスを叩きます。路面が濡れてきても、印象はドライ路面と変わらず、不安感は一切生まれませんでした。
雪道に突入! 圧雪路では安定した走りを披露
信州中野ICを降りて東へ。雨は上がりましたが、見上げる山の上は、すっかり雲で覆われています。高速を降りた街中には、どこにも雪の気配はありませんでしたが、どうやらスキー場のある山頂付近は雪がいまも降っているようです。迷わず、スキー場へ向かってワインディングへ。その道中はタイトなコーナーが続きますが、「オールシーズンマックス AS1」は、そこでもスムーズなコーナリングを見せつけます。
坂を上っていくと外気温計の数字は、じわじわと下がっていきます。道路上は濡れているだけですが、道の両脇の日の当たらない場所には残った雪が増えてきます。
ある程度、登ったところで、雪に覆われた道路沿いの駐車スペースを見つけました。いきなり雪の道に突入するのは、さすがに勇気が要ります。そこで、雪の積もった駐車場で「オールシーズンマックス AS1」の雪道性能を軽く試してみることにしました。恐る恐る雪の上にクルマを乗り入れてみたのですが、あっけないほど普通に走れます。
これで俄然、不安が払しょくされました。「雪道に入っても大丈夫」という確信が得られたのです。そうとなれば、あとは本格的な雪道を目指してワインディングを進むばかり。
ところが、その先をいくら進んでも雪がありません。曇ってはいるのですが、すっかり雪は雨になったよう。しかも、その雨さえもやんでしまいました。気がつけば山頂付近にあるスキー場に到着しましたが、テストにならないからと、さらに道を進みます。「冬季通行止め」となる行き止まりエリアの手前まで来て、ようやく雪の残る道を発見できました。圧雪にシャーベット状、そしてカチコチに凍結と、雪道のバリエーションも揃っています。
まずは圧雪路から。これは先ほど試した駐車場と同じく、確かなグリップ力を発揮。不安なく走ることができました。また、シャーベット状の道も、同じ印象です。
そして最後に現れたのが凍った道。ここは、さすがに苦手のよう。グリップ力がいまひとつ発揮できずに、ブレーキをかける際、何度もABSが効いてしまいました。やはり、アイスバーンのような、いわゆる「本格的な雪国の冬道」になると、走行は難しいようです。
使い方を間違えなければ、非常に頼りになるタイヤ
東京から長野までの往復500kmを走っての「オールシーズンマックス AS1」の感想を言えば、「驚くほどオールマイティなタイヤであった」というものでした。乾いた路面から濡れた路面、圧雪路にシャーベット状の道までを軽々とクリア。苦手なところを見せたのは、凍った路面だけでした。それを除けば、十分なグリップ性能、静粛性、ハンドリング性能、乗り心地を見せてくれたのです。
アイスバーンが苦手ですから、「冬になると毎日のように雪が降って、アイスバーンがあちこちにできる」という環境下での使用はおすすめできません。また、「毎週末のように吹雪のなかをスキー場に通う」という人もやめたほうがいいでしょう。そのような人には、スタッドレスタイヤの装着を推奨します。
そうではなく、「ほとんどは雪の降らないエリアで走行。年に数度の積雪に遭遇する」という人にこそ、オールシーズンタイヤ「オールシーズンマックス AS1」はお勧めとなります。
●ダンロップ「オールシーズンマックスAS1」
https://tyre.dunlop.co.jp/tyre/lineup/allseason/
【了】
Writer: 鈴木ケンイチ(モータージャーナリスト)
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車専門誌やウェブ媒体にて新車レポートやエンジニア・インタビューなどを広く執筆。中国をはじめ、アジア各地のモーターショー取材を数多くこなしている。1966年生まれ。