緑と白の200系新幹線がラベルに復活 「FROM AQUA」発売30周年記念で
嫌われ者だった「大清水」
このミネラルウォーター「大清水」、現在の「FROM AQUA」が誕生したきっかけには、新幹線が大きく関係しています。
群馬・新潟県境には標高1977mの谷川岳をはじめとする険しい山々がそびえており、上越新幹線はそこを全長22221mの大清水トンネルで通過すべく、1972(昭和47)年から掘削を始めます。しかしその際、トンネル内で毎分33トンにもなる激しい出水が発生。関係者を悩ませました。
そうした難工事を経て、1982(昭和57)年11月15日に上越新幹線が開業。大清水トンネルに200系新幹線が走り出します。工事中に出た水は安全性に問題はなかったものの引き続き湧いており、冬期の融雪に利用されていたのですが、次第にその湧いている水が美味しいとトンネル内を巡回する作業員たちのあいだで評判に。水質的にも優れていたことから、1984年にミネラルウォーター「谷川連峰の源水 大清水」として発売された、という経緯があるのです。
また「大清水」の読みについて、トンネルは「だいしみず」ですが、ミネラルウォーターは「おおしみず」。「濁らない」という意味があるそうです。
ちなみに、川端康成の小説『雪国』における冒頭の有名な一節「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」のトンネルは、同様に谷川連峰の直下を通過する上越線の清水トンネルがモデルだとされています。上越新幹線においても、空っ風が吹きすさぶ冬晴れの群馬県高崎駅から、大清水トンネルを抜けてあっという間に雪国の新潟県越後湯沢駅と車窓が急激に変化することがあり、新幹線のスピードで「トンネルを抜けると」が楽しめます。
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Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)
鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。
大清水の缶コーヒーはまろやかで飲みやすく、ホームの自販機でドリンクを買うときは必ずこれでした。