大阪〜釜山フェリー利用者急増 LCCに対抗 伸びる日本の乗船客
関西旅行はパスポートを持って?
その理由として目立っているもののひとつに、日本法人のサンスターフェリーが扱う旅客の伸びがあります。
日本からの乗客は2015年6月には月間171人まで落ち込むなど、「MARSショックの影響でしょうが、2010年以降では最低の実績」(サンスターフェリー・野瀬専務)になっていたとのこと。
そこで、2015年に大阪市役所から転職した野瀬専務が中心になって、旅行会社へのセールスや、関西の自治体などに韓国旅客の送致を行うといった関係強化に努めた結果、2016年3月には日本から月間1300人以上を集客。その月は全旅客数の18.2%が日本からの乗客だったといいます。
ちなみに、ある大手旅行会社が販売する船内2泊と釜山2泊、計4泊のパックツアーは1万2800円から2万6800円。値ごろ感が受け、4月以降も日本からの集客は好調が続いているといいます。
しかしその「値ごろ感」だけでは厳しいのが現状であるほか、主力客が関西圏に偏っているのも課題といい、関東での市場開拓にも努めていきたいと野瀬専務は話します。
「LCC(格安航空会社)が提供座席数を増やしており、価格だけの勝負では苦しいですね。ですが京都や神戸、大阪旅行のあと、クルーズフェリーで釜山や慶州に足を伸ばすというのも楽しい旅の仕方です。もちろんフェリーですから自分のクルマで韓国に渡ることもできますし、何よりも安全でゆったりと瀬戸内海や日韓海峡の船旅を楽しめます」(サンスターフェリー・野瀬専務)
「関西旅行には、どうぞパスポートをお忘れなく」。近い将来、そんな旅の仕方が珍しくない日が来るかもしれません。
【了】
Writer: 若勢敏美(船旅事業研究家)
1949年生まれ。業界紙を経て1980年、海事プレス社へ入社。1989年、雑誌『CRUISE』創刊に参画し、翌年から編集長。2008年、海事プレス社の社長へ就任。2012年退任。この間、取材、プライベートを含め35隻の客船に乗船して延べ55カ国を訪問。地方自治体や業界団体主催の講演会などに多数出席。
大阪~釜山の船があれば、今度は大阪~東南アジアの及び、新潟・金沢・舞鶴~ウラジオストク便の船などを検討することは大いに値するだろう。
他にも福岡~上海などのアジアの主要航路を西日本が押さえて置くことで地政学的にアメリカ一辺倒になりがちな関東(特に東京・千葉・茨城)、東北太平洋側と差別化する事が出来るだろう。
GHQ計画で東京一極集中を進めた要因は、アメリカ以外の情報を入れさせない為である事が既に知っているからだ。
だが、日本の貿易の75%はユーラシア大陸で残り15%はオーストラリアとニュージーランドになり、アメリカ合衆国との貿易は既に1割もない事は覚えておくと良いでしょう。
それだけアメリカは落ち目の大国と言われて当然だからだ。