来ぬ特急「しらさぎ」 安堵のサーモンづくし

福井駅から東京へ帰ろうとしたところ、北陸本線で人身事故が発生して運転見合わせに。今日中に帰って明日は出社せねばならない社会人、混雑する改札、いつ来るか分からない特急「しらさぎ」。そこであるアイディアが、父から出されました。

何も知らない親子 改札前で発生していた混雑

 あれは3連休最後の日、2016年10月10日(月・祝)でした。休みを地元の福井で過ごした私(蜂谷あす美:旅の文筆家)が神奈川に戻る日で、見送りの両親とともに福井駅に来ていました。北陸本線の特急「しらさぎ」、および米原から乗り換えた先の東海道新幹線「ひかり」のきっぷは、あらかじめ購入してありました。

Large 20200711 01

拡大画像

名古屋・米原~金沢間を結ぶ特急「しらさぎ」(画像:写真AC)。

 発車まで余裕があったことから、クルマを駐車場に入れたのち、駅前のカフェ「プロント」でお茶をすることにしました。このプロントは、その年の春に開業した商業施設「ハピリン」に入居しているもので、「北陸初上陸」をうたっていました。両親にとってもプロントを利用するのは初めてのことで、「お酒や食事も充実しているなあ」と、とても喜んでいたのを覚えています。「この先を何も知らない親子は、とても和やかな時間を過ごしていました」とナレーションを入れたくなるくらい呑気なものでした。

「そろそろやな」

 列車の時間が近付いてきたため、駅に向かいます。見慣れた構内で最初に気づいたのは、改札前が混雑していることでした。時刻は18時25分。

発生していた人身事故

 入場券を買い求めているあいだ、「そうだよな~連休最終日だから、そりゃ混むよな~」と思いながら、見送る人、見送られる人が大勢いるようにしか見えない有人改札付近を眺めていました。

 そのときです、構内にアナウンスが流れたのは。このアナウンスによって、混雑の理由が「連休最終日」などという優しいものではないことを知りました。なんと北陸本線内で人身事故が発生し、それにより運転見合わせとなっていたのです。

 改札に近づけば、その旨を記したホワイトボードが掲出されていました。見送る人、見送られる人に見えたものは、運転見合わせで困っている人たちでした。ふと、手元のきっぷに目を落とします。18時37分福井発の特急「しらさぎ」はいつやってくるのだろうか、私はどうしたらよいのだろうか。

帰らないといけない… 考えられる選択肢は?

残り1612文字

この続きは有料会員登録をすると読むことができます。

2週間無料で登録する

Writer:

1988年、福井県出身。慶應義塾大学商学部卒業。出版社勤務を経て現在に至る。2015年1月にJR全線完乗。鉄道と旅と牛乳を中心とした随筆、紀行文で活躍。神奈川県在住。

最新記事

コメント

記事ランキング

  1. ロシア軍の戦闘機が「真正面から撃破される瞬間」を捉えた映像が公開 ドローンの突入を防げず
  2. 海自の潜水艦が発射した魚雷が「揚陸艦へ突進」 雷跡を上空から捉えた珍しい写真が公開される
  3. 片山さつき大臣「実態調査はじめます」 街のクルマ屋の「保険代理店打ち切り」問題に新局面 ビッグモーター事件の余波に再び切り込む!
  4. 「海自最大の護衛艦」と「世界最大級の軍艦」が洋上で並んだ! 圧巻の編隊航行を上空から捉えたショットが公開
  5. 海自艦がロシア海軍の「超静かな潜水艦」を確認!浮上航行する姿を捉えた画像を防衛省が公開
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  3. ロシア軍の戦闘機が「真正面から撃破される瞬間」を捉えた映像が公開 ドローンの突入を防げず
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. 航行中の護衛艦「かが」の周辺に「巨大な海洋生物」が出現! 艦艇勤務ならではの光景を海自公式が公開