「観光船」の役割高まる 3代目「おがさわら丸」建造へ

様々な思惑に翻弄された小笠原

 「おがさわら丸」は、それこそ2代目就航の1997年以降、様々な思惑に翻弄されてきました。小笠原に空港を設け、航空路を開設するというプランが持ち上がり、用地選定も検討されましたが、これは「自然を壊すな」という反対もあって中止。さらには国土交通省(当時は運輸省)の旗振りで2004年、日本の独自技術で「テクノスーパーライナー」と呼ばれる超高速船(70km/h)が建造されましたが、「燃料油を垂れ流して走る」船といわれたほどの燃費の悪さを嫌った小笠原海運が傭船を断り、実現しなかったという経緯があります。

 この航路の特質は、生活物資の輸送や本土への足となる「生活航路」と、日本でも唯一といわれる海洋性の自然や独自の生態系を持つ小笠原への「観光船」という両方の役割を担い続けることです。この船が止まってしまうと即、小笠原島民の生活が行き詰まります。このためコンテナを搭載できるように造られ、これまでは運賃も高くならないよう必要最低限の乗客仕様で建造されていました。

しかし3代目は搭乗フロアからのエレベーター、介護室の設置、バリアフリーの充実、さらには熟年観光客にはうれしい個室(168名から200名へ)の拡大が図られており、「観光船」仕様が一歩も二歩も前進されています。

 2011年に世界遺産へ登録された小笠原。その翌年には豪華客船が年間30回と前年の6倍も入港するという特需がありましたが、2014年は15回と落ち着いています。そうしたなかこの新造船建造のニュースはもう一度、小笠原に観光の波を作り出すかもしれません。

 また同時に、小笠原の父島と美しい自然が残る母島を結ぶ定期船「ははじま丸」(499総トン)の建造も発表されました。こちらも2016年7月の就航予定です。

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1991年に就航した現在の「ははじま丸」(画像:伊豆諸島開発)。

 ダイビングやホエールウォッチング、ドルフィンウォッチング、釣りなど多彩なマリンスポーツや観光が楽しめる小笠原。東京港から24時間(現在は25.5時間)かけて、のんびり船で行くリゾートとして残されたことは大正解かもしれません。

 もちろんグルメ派だって大満足。ここでしか食べられないアオウミガメのお刺身やワサビではなくカラシを付けて食べる島寿司、それにパッションフルーツやラム酒。3代目の就航が待ちきれない人は、まず2代目「おがさわら丸」からお試しあれ。

【了】

Writer: 千池文人

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コメント

1件のコメント

  1. 小笠原航路で運用する予定だったTSLは解体された様子。

    三代目には頑張って欲しいですね。