クルーズブームで、クルーズ人口が減る日本 その特殊な構造
国際スタンダードとは異なる日本
その秘密は、この「クルーズ人口統計」自体に隠されているという説があります。「そもそもこの統計自体が上げ底だったのでは?」と、疑問が上がっていることがひとつです。
例えば海外クルーズの目的地。日本人が近場のアジア以外でもっとも出かけているクルーズエリアは、この統計ではカリブ海や地中海でもアラスカでもありません。20年以上に渡って、北欧・バルト海とされていたのです。この統計は1泊以上を洋上で過ごす人をカウントしており、バルト海を1泊で渡るフェリーの日本人乗客数を統計に含めているからです。
これが2014年は1万8000人(外航クルーズ客の14%)でしたが、毎年2万人から3万人、一時期は外航クルーズの30%を北欧フェリーが占めていたこともあります。そもそも日本の「クルーズ人口」は上げ底だったのです。
国内はどうでしょうか。長距離フェリーのトラック輸送が止まるお正月にフェリー会社は小笠原や南西諸島に「クルーズ」するわけですが、これらの「お正月フェリー」に乗る乗客もクルーズ人口に含めています。
国際的なクルーズ統計として使われている北米クルーズ協議会(CLIA)やイギリスのクルーズ統計などでは、これら移動を目的とした乗客の数字は含まれておらず、日本の統計は国際スタンダードには合っていません。日本で現在のようなクルーズが始まって25年、このあいだ伸び悩むクルーズ人口数にちょっとお化粧してみたかったのかもしれませんが、そもそも日本のクルーズ人口はそれほど多くはなかったというわけです。
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