造船「日本はずし」の危機? 間近に迫る環境規制、対策は難航か

対策に着手し始めた国内造船業界、しかし世界の選択は…

 日本の造船や船舶用機械業界は、効率的なLNGエンジンの開発、改良や、コンパクトなエンジンルームの開発など、LNG燃料船の新設計に着手し始めてはいるようです。たとえば日本郵船は、欧州海域で運航する自動車専用船として2016年9月、LNG焚き船を就航させています。

 しかし、すでに規制が現実のものになっている欧米の船会社は、フェリー、客船を皮切りに、一説によると90隻以上、建造計画中のものを含めると200隻規模で、大胆にLNG焚き船を導入する計画に着手しているといいます。

 そんななか、北欧の大手フェリー会社であるバイキングライン社(フィンランド)が、2020年就航予定で6万3000総トンにおよぶLNG焚きの大型ROPAX(豪華フェリー)を、1プラス1隻オプション形式で中国の厦門重工に発注したというニュースも伝わってきました。

 いま欧州の造船所は、客船建造ブームで受注余力がありません。そこで欧州のクルーズ会社は、中国の造船所を選択したのです。

 このまま日本の造船所が新しい環境規制の時代へ対応できない場合、客船やフェリーの分野で「日本パッシング」が起きかねません。

【了】

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