広がる新型コロナの影響 東京メトロで鉄道イベント等を企画する部署は そのとき

東京メトロには、鉄道イベントの企画などを行っている部署があります。しかし新型コロナウイルスで、その仕事の形も変わったようです。新しい形のイベント「おうちでメトロ学び隊!」開催の背景を、担当者に聞きました。

新型コロナで鉄道イベントにも大きな影響

 東京メトロが2020年3月25日(水)から5月31日(日)まで、「おうちでメトロ学び隊!」を、ウェブ上で小学生以下を対象に開催。お絵かきコンテスト(3月19日から先行実施)やオリジナルペーパークラフト公開、動画を使った東京メトロの工場見学、駅コンサート、東京メトロの仕事紹介を行いました。

 新型コロナウイルスの影響で学校が臨時休校になるなか、家で過ごすことが多くなる子どもたちに向けたイベントで、民間企業から子どもたちへ支援の輪が広がっているなか、東京メトロとしても学習支援の一助になれば、という背景から開催したそうです。

Large 200712 metro 01

拡大画像

東京メトロのイベントで有楽町線新木場駅に到着した千代田線の16000系電車(2017年12月、恵 知仁撮影)。

 この「おうちでメトロ学び隊!」では、お絵かきコンテストの作品と、工場見学・仕事紹介の感想文を子どもたちから募集。240件の応募のうち最優秀賞の40組を招き、東京メトロ有楽町駅の駅長になりきってもらい表彰する「なりきり駅長表彰式」が2020年7月に実施されています。首都圏のみならず、北海道などからも応募があったそうです。

 鉄道事業者に大きな影響があった、新型コロナウイルスの感染拡大。そうしたなか、東京メトロ社内でどのようにしてこの企画が生まれたのか、東京メトロ 需要創出・マーケティング部の村松吉実さんに話を聞きました。

東京メトロでイベントの企画などを行っている部署

Q:この「おうちでメトロ学び隊!」は、どのように生まれたのでしょうか?

 東京メトロの需要創出・マーケティング部では、お客様に楽しんでいただくイベントを企画していますが、お出かけが難しい状況であることから、ウェブサイトを開設することになりました。

 また、休校でお子様がお家にいると、親御さんたちは面倒を見なくてはなりません。そこでお子様がひとりでできるお絵かきやペーパークラフトを企画し、それが支援になればと考えました。

Q:2月27日に安倍首相が3月2日からの休校を要請しましたが、そのあとに企画は始まったのでしょうか?

 いえ、2月の後半ぐらいから社内で、スタンプラリーや内々で進んでいたイベントなどの企画は中止にしようという動きになり、このようにウェブサイト上で何かできないかということになっていました。

「教材」はいつ用意した? 東京メトロ各部署の連携も財産

Q:綾瀬工場で撮影したVR動画が“教材”として使用されましたが、いつ用意したのでしょうか?

 車両基地イベント「メトロファミリーパーク in AYASE 2017」で公開したものでしたが、今回、お楽しみいただけるのではというところから、ウェブ上で公開しました。

Large 200712 metro 02

拡大画像

「メトロファミリーパーク in AYASE」の様子(画像:東京メトロ)。

Q:仕事紹介の動画も“教材”として使用されましたが、こちらもすでにあったものでしょうか?

 元々あった社内用の動画を、お子様にも見やすいように編集し、使いました。

 お子様向けということで、分かりやすい駅員や車掌、運転士の動画がよいのでは、という話もあったのですが、電気部などいろいろな仕事の人が力を合わせて東京メトロの電車は動いている、というのを知っていただきたく、様々な職種の動画を公開しました。

 またウェブ上での動画公開にあたって、そこに写っている本人に確認をとったのですが、「お子様たちへの支援であればぜひ使って」と、この「おうちでメトロ学び隊!」でも、東京メトロの各部署が力を合わせた感じです。今回、いろいろな部署の人たちと一緒に企画を実施できたことも、大きな財産だと思っています。

 なお、ペーパークラフトも元々あったものですが、お子様向けにアレンジして公開しました。

「新型コロナ感染拡大防止」の工夫をした鉄道イベント

Q:新型コロナウイルスの感染拡大という状況のなか、企画の実施で工夫したことはありますか?

 メトロ文化財団と東京メトロで例年開催している「メトロ児童絵画展」では、描いた絵を送っていただいているのですが、感染拡大防止の観点から、今回は制作した絵や感想文の写真を撮り、メールで送っていただく形にしました。

 そしてお送りいただいた絵は東京メトロで加工し、緊急事態宣言の解除後に千代田線の乃木坂駅で展示し、多くのお客様にご覧いただくことにしました。

 これまで我々は車両基地にご来場のうえ楽しんでいただく、といったイベントなどをしてまいりましたが、今回はそうではない、ウェブやペーパークラフトを使った形が新しく生まれるきっかけにもなったと思います。

Q:男の子と女の子、応募の割合はどのくらいでしたか?

 圧倒的に男の子が多かったですね。ただ最優秀賞に4組程度、女の子も入っています。

残り1331文字

この続きは有料会員登録をすると読むことができます。

2週間無料で登録する

Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)

鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。

最新記事