〈PR〉「A列車で行こう9」に初心者が挑戦 シナリオマップ攻略で経営を学ぼう 中編
「A列車で行こう9」最新版に「乗りものニュース」編集部が挑む連載企画。第7回目は、ある路線もヒントにしながら、鉄道経営への理解を深めます。
アドバイスに従い、経営の基礎固め
プレイヤーが鉄道会社の社長となり、線路を造って列車を運行し、都市を発展させていくゲーム「A列車で行こう」シリーズ。その最新版「A列車で行こう9 Version 4.0 MASTERS EDITION」に「乗りものニュース」編集部が挑戦しています。
私(末吉史樹)はこれまで、初心者の自己流で「A列車で行こう9 Version 4.0 MASTERS EDITION」をプレイ。しかしあえなく会社は倒産し、シナリオマップでいちから“経営”を学ぶことに。そして前回、ようやく経営状況を好転させることに成功し、少し自信をつけました。
ここで、前回までに「広域都市計画」のシナリオマップでつくった路線と街の状況をみてみましょう。
ゲーム開始の際に「海岸沿いに港を建設すると、船舶での資材輸送が可能です」とのアドバイスを貰いましたので、それに従って必要な資材工場や資材置き場を確保。街の中心部と港を結ぶ貨物線も造っています。
マニュアルで調べたところ、コンテナ港を建設すると、コンテナ船がマップ外から資材を輸入してくれます。逆に、資材が余ると、マップ外に輸出して売り、利益をあげることも可能。ゲーム開始時のアドバイスは、この仕組みを活用するように言っていたのです。
さて、時間の経過とともに工場が資材を生産。必要量が揃ったので、コンテナ港を建設します。コンテナ船はいつ、どこから現れるのでしょうか。楽しみに待ちましょう。
資材をマップ外とやり取りして稼ぐのは、鉄道や道路を使ってもできます。そこで下図のように貨物専用線を建設しました。貨物列車を使い、資材置場とマップ外との間でピストン輸送を行う作戦です。
下の動画のように、資材を積んだ貨物列車はマップ外で荷物を降ろし、空になって帰ってきます。資材は売れたとみなされ、その分は会社の利益になります。
逆に、空の貨物列車がマップ外に出ると、資材を積んで戻ってきます。資材工場の生産に頼らず、効率よく資材調達ができる方法です。
危険の芽は早めに摘み取る
さて、「攻め」の一方で「守り」を忘れると危険。これまでの失敗から学びました。
前回レポートで確認し、路線バスは「打つ手なし」で撤退を決断。車両は運行を止めても、保有するだけで経費がかかり続けるので、素早く実行に移します。バスは、購入価格2800万円の7割にあたる1960万円で売れました。
危険の芽は、わずかでも早めに摘み取る。「A列車で行こう9 Version 4.0 MASTERS EDITION」のプレイを通じて、私にも少しは経営センスが身に付いてきたと思うのですが、この判断は吉と出るでしょうか。
資材の調達作戦を旅客部門にも応用
私はプレイ中に、ふと思いつきました。貨物列車がマップ外から資材を運べるのなら、旅客列車はマップ外から乗客を運んでこれるのではないか、と。初心者ならではの単純な発想ですが、試してみる価値はありそうです。旅客線もマップ外につなげて、人を街に呼び込む作戦を始めました。
さっそく、マップ外から人を運ぶための鉄道車両を購入。「A列車で行こう9 Version 4.0 MASTERS EDITION」に収録されている車両は、シリーズ最多の240種類。実車と同様に、性能や設備に応じて価格が違います。出せるスピードもそれぞれ決まっているので、車両の用途や運行効率、購入コストなどのバランスを考えなければなりません。
私が選んだのは201系電車。出せるスピードは70km/h、価格は4両で1億5540万円です。残りの資金額や乗客数の予想なども含めて、総合的に判断しました。
201系の実車は、1981(昭和56)年に当時の国鉄が量産を開始。省エネ対策や内外装のデザインなどで新機軸を採用し、現代の通勤型電車にも大きな影響を与えている車両です。
車体色は3色から選べますが、私は学生時代によく乗っていた中央線カラーのバーミリオンオレンジを選択しました。
201系を新しい旅客線に投入し、B駅とマップ外とを往復させます。すると狙いが的中し、マップ外からお客さんを大量に運んできてくれました。おかげで収入も増え、鉄道部門の黒字化も現実的に。ここは鉄道部門をさらに発展させるチャンスしれません。
実物の鉄道からヒントをもらおう
グラフィックはもちろん、ゲーム進行上の各種設定も現実世界のようなリアルさを持つ「A列車で行こう9 Version 4.0 MASTERS EDITION」。ということは、現実の鉄道からヒントを得てゲームのプレイに活かせば、成功の確率は高まるかもしれません。
私は、効率が良く収益性の高い路線のモデルがないか、考えてみました。そこで浮かんだのは東京のJR山手線でした。山手線の特徴は、環状線であること。環状線は、列車の折り返しを考えることなしに、運行本数を増やすのが容易です。
そこで下図の赤線で示すように、街を取り囲む形で環状線を建設。B駅からみて、環の反対側にあたる場所へ新たにC駅を設けます。これで、A・B・Cの3駅間で人の流れを生み、またC駅周辺に新たな人口を増やすことを狙うという戦略です。
今後は、キハ40形を環状線内で運行。201系がマップ外からB駅に呼び込んだ人を、キハ40形がB駅から環状線の各駅に運ぶというように、各列車の役割分担を行います。
現行の線路配置では、B駅でキハ40形と201系がぶつからないよう、下図のように発着ホームを分けていました。
ところが、環状線を造ってキハ40形が周回運転するようになると、どちら向きに回っても、下図のように201系とぶつかる可能性が出てきます。
現在、貨物列車は資材置き場とマップ外を往復させており、B駅から海岸に延びる貨物線は使われていません。そこでこの貨物線を旅客化し、B駅の海側に渡り線を設けて、マップ外からくる線路とつなげます。これを201系の新たな運行ルートとすることで、キハ40形とぶつかることを避けられました。
「A列車で行こう9 Version 4.0 MASTERS EDITION」をプレイして感じるのは、つくづく「鉄道」=「システム」だということ。何かを少しでも変更すると、その影響があちらこちらに及ぶので、慎重にさまざまなケースを想定して物事を進める必要があります。
これまで眺めていた実物の駅や線路の風景にも、その裏側にさまざまな人の知恵と努力があるのだということを、あらためて考えさせられました。「A列車で行こう9 Version 4.0 MASTERS EDITION」をプレイしたあとでは、見慣れた鉄道風景もこれまでとは違った見え方になりそうです。
鉄道はついに黒字転換
ここまでの戦略を進め、しばらく様子をみました。そして、ドキドキのレポート確認。ついにやりました、鉄道部門はわずかですが黒字転換です。
環状線の列車は利用が好調。増発やダイヤの組み直しなどを考えて、さらに利益が見込める体質づくりを目指します。あるいは、B駅とマップ外との往復専門にしている201系を、環状線に乗り入れてみるのも面白いかもしれません。
そして、コンテナ船が姿を現してくれました。ありがたいことに、資材をせっせとマップ外に輸出してくれているようです。これも、資材の輸出戦略が成功している証でしょう。
喜びの一方で、さらなる課題も。資材をマップ外に輸出して儲かっていると思いきや、なぜか資材工場や資材置場は赤字のまま。また、港も大赤字です。
さらによくみると、電力会社の利益はずっと右肩上がり。電力需要が増え続けていれば、さらに発電所を造ると利益を増やせるかもしれません。そこで次回は資材関連や港、発電所など、子会社にもメスを入れたいと思います。
ここまで「A列車で行こう9 Version 4.0 MASTERS EDITION」で経営について学んだ集大成として、鉄道好きの私としては、なんとか特急列車を運行できるところまで会社を持っていきたい、そして特急列車の運転台から、この街を眺めてみたいです。
【了】
Writer: 末吉史樹
小学校の校庭横をブルートレインが走り、上空をF4「ファントム」が飛ぶ環境で育つ。旅とグルメを愛し、各地の温泉やおいしい食べ物には目がない。