湊町~梅田を「止める」 阪神高速「環状線」通行止めリニューアル工事2年目 渋滞回避へ工夫さらに進化〈PR〉
2021年度は、阪神高速1号環状線の北行きを10日間、終日通行止めにする大規模なリニューアル工事が行われます。2020年、2021年と2か年に分けた工事の「後半」は、環状線でもとりわけ交通量の大きな区間が通行止めに。渋滞を回避するためのサービスも進化しています。
湊町~梅田を封鎖 阪神高速の“心臓部”を止めるインパクト
阪神高速道路は今年11月に、1号環状線(一部、11号池田線)の「湊町入口~梅田出口」で終日通行止めをともなうリニューアル工事を実施します。期間は2021年11月16日(火)午前4時から同26日(金)午前6時までの10日間です。
阪神高速では昨年2020年11月に、1号環状線リニューアル工事の「前半」として、南行(梅田~夕陽丘)とその周辺でリニューアル工事を実施。今回はその「後半」となります。
総延長250kmを超えるネットワークを持つ阪神高速。その中で1号環状線は1964(昭和39)年に開通した最初期の路線であり、なかでも難波エリアと梅田エリアを縦断する今回の工事区間は、阪神高速の中でも有数の交通量となっています。
その「大動脈」を止める今回のリニューアル工事。当然、そこを通るはずの莫大な交通流が、他の路線や一般道へと流れこむと考えられます。周辺での渋滞発生をできる限り抑えるため、阪神高速ではさまざまな対応策を準備しています。
リニューアル工事で何が変わる?
先述のとおり、阪神高速の最初の路線である1号環状線は開通から半世紀以上が経過しています。長寿命化を図るため、舗装をまるごと打ち替えるだけでなく、その下のコンクリート床版が損傷していた場合には補修を行います。また、床版への雨水などの侵入を防ぐため、床版上に2層の防水材を敷設します。
さらに、高速道路の騒音や振動の主な原因のひとつである橋と橋のつなぎ目「ジョイント」も取り替えます。またソフト面でも、昨年の南行工事に続いて、案内看板をよりわかりやすいデザインのものに更新するほか、路面上にカラー舗装を導入するなどして、出口分岐やJCT分岐をより直感的に理解しやすくするそうです。
どこが混む? 「う回乗り継ぎ」で交通分散
2020年の南行工事を踏まえ、ドライバーへの影響を最小限に抑える施策も強化しているとのこと。どのような影響が考えられ、どう対処するのでしょうか。
●池田線、守口線の利用者“ココに注意”
大阪南部から11号池田線で伊丹空港方面へ向かう場合、また12号守口線で大阪北東部へ向かう場合、いずれも1号環状線を経由する必要があるため、通行止め期間はこれらの利用者が環状線に並行した一般道路になだれ込むことが予想されます。
阪神高速では、通行止め区間を挟む場合で、いったん一般道に下りてまた阪神高速に乗った場合も、それぞれ料金を払うのではなく通し利用とみなす「う回乗り継ぎ」を設定していますが、その「う回乗り継ぎ」の対象となる出口を手前に複数設定し、「通行止め直前の出口は大混雑するので、渋滞状況に応じてその手前で下りてください」と誘導する計画です。
●神戸線、湾岸線の利用者“ココに注意”
これまで長い間、大阪府東南部から3号神戸線や5号湾岸線へ抜ける際は、環状線のえびすJCTや西船場JCTを経由する必要がありました。しかし、2013(平成25)年に淀川左岸線の北港JCT~海老江JCT間が全通、さらに2020年に6号大和川線の三宅JCT~三宝JCT間が全通し、神戸線と湾岸線、松原線が直結したことで、環状線を経由せずに大阪市をう回できるようになりました。大阪市東南部~神戸方面のあいだは、ルートの選択肢が増えています。
今回の工事では、淀川左岸線や大和川線といった「外周ルート(大阪都市再生環状道路)」を最大限活用。環状線を通過するだけの交通は、できる限り環状線を避けるよう、広域う回誘導に力を入れます。
●「う回して」だけでなく、「このう回路だと●●分」まで案内
実際に誘導するにあたり、現地には多くの「簡易情報版」が設置されます。一般的な道路工事では「う回をお願いします」程度の内容ですが、環状線のリニューアル工事ではさらに交通分散を促進するため、情報版に「ルートごとの所要時間」を比較表示。設置数も前回環状線南行工事の4か所から6か所に増やしています。
ドライバーに向け「事前の準備」も「当日のガイド」も進化
では利用者は実際に、どうやって最適なう回ルートを決めればいいのでしょうか。
工事期間中の阪神高速の利用をスムーズにするため、特設サイト「1号環状線リニューアル工事 2021北行」が開設されています。この中で、事前に渋滞予測情報の把握やう回・乗り継ぎルートの検索ができるよう、『う回ルート検索システム』が用意されています。
『う回ルート検索システム』は出発地・目的地・出発日時を入力するだけ。その出発日時を考慮して、別路線によるう回や、途中で阪神高速を下りて一般道を経由し再び阪神高速に乗る「う回乗継」だけでなく、最初から自動車ではなく指定地点間の鉄道などを利用した場合の選択肢も提示され、比較検討が可能です。
あわせて検索結果では、時間帯別の所要時間も1時間ごとに一覧表示され、平常時と比較した所要時間が表示されるため、いつもより●●分前に出発したら良いかの目安になります。また、阪神高速ではラッシュ時など混雑時を避けた移動を呼びかけており、そのための出発時間を見直す際にも活用することができます。
「う回乗継」の対象となる出入口は、同じ特設サイト内の『乗継出入口ナビ』で確認。利用したい出入口を選択すると、そのまま『う回ルート検索システム』に遷移しルート検索を行う機能もあります。この機能は、う回乗継中の一般道う回ルートを検索する際などに、出発地・目的地をフォームに入力するより楽かもしれません。
『う回ルート検索システム』は複数の道路ルートのほか、最初から自動車ではなく鉄道を利用した場合の選択肢も含めて、比較検討が可能。また、通行止め期間中は、検索結果をナビタイムのカーナビアプリ『ドライブサポーター』に引き継いで、有料のカーナビサービスを無料で利用することができます。
「前回の南行のリニューアル工事の際、特に初日は、いつもの感覚で利用するお客様が多く、渋滞が発生しました」。阪神高速の担当者はこう話します。その経験をふまえ、「事前にう回路を把握してもらう」ことに注力したいとの思いがあるそうです。
『う回ルート検索システム』は過去の検索履歴を呼び出してルート検索する機能があるため、当日にカーナビをスムーズに利用するためにも、「まずは移動前にルートを事前検索していただきたい」ということです。
「あちこちでリニューアル工事」 影響の緩和に向け高速道路会社間で連携
今回のように、交通量の多い区間でも長期間通行止めにして実施するリニューアル工事は、各地で行われるようになっています。高度経済成長期に建設された各地の高速道路が、一気に耐用年数を迎えつつあるためです。
大阪圏では中国道もリニューアル工事が行われており、吹田JCT~中国池田IC間で約40日の通行止めが解除された1週間後、今回の阪神高速環状線の工事が始まります。阪神高速の担当者によると、周辺路線の工事計画と時期が重ならないよう、綿密な調整を行ったといいます。
車線規制や夜間通行止めではなく、あえて終日通行止めで工事を行うのも、都市高速道路ならではの制約によるものです。住宅やビルがびっしりと立ち並ぶ環境下で、大きな音の出る作業を夜間に行うことはできず、かといって昼間の車線規制も大渋滞を招きます。
このため、広報や事前対策をしっかり行い、短期集中の通行止め工事により、社会的影響を最小限に抑える――という考えのもと、阪神高速は様々な路線で通行止め工事を重ねてきました。その背景に地域の理解があることは言うまでもありません。
【了】