今どうなった? 3年通行止め「阪神高速14号松原線 喜連瓜破」再開通までの道のり 1年経てう回路にも“変化” 〈PR〉
大阪南部・奈良方面から大阪市内への玄関口となる、阪神高速14号松原線。その喜連瓜破~三宅の区間が、約3年間の通行止めにより工事中です。異例の長期におよぶ工事ですが、なぜこんなに長くなり、現在どこまで進んでいるのでしょうか。
大阪市内への「南の玄関口」3年間通行止めで一気に工事
阪神高速14号松原線で行われている、橋の架け替え工事。この工事により、喜連瓜破~三宅JCT間が、昨年6月から2025年3月末(予定)まで約3年間、通行止めとなっています。
工事開始からすでに1年が経過しつつありますが、現場ではどこまで進んでいるのでしょうか。
そもそも、何のために工事をやってるの?
今回の工事のきっかけは、長居公園通をまたぐ高架橋の中央部が「垂れ下がってきた」ことにあります。橋桁と橋桁を中央ヒンジと呼ばれる蝶番(ちょうつがい)の構造でつないでいた箇所です。
架け替え後は、橋脚から橋脚までの間をつなぎ目の無い「1本の橋桁」で渡す構造になり、「垂れ下がる」ことはなくなります。
まず14号松原線を通行させながら片側ずつ架け替えていく場合、約10年~12年かかるという試算が出たため、通行止めは必須。いっぽうで通行止めにする場合も、「高速道路下の用地にクレーンを置いて撤去」する方法では、1日6万台を有する瓜破交差点を通る一般交通への影響が甚大となります。
工期をできるだけ短くし、一般道への負荷も回避する方法が検討された結果、「14号松原線は通行止めとし、橋桁撤去は作業用仮設桁を設置して空中で撤去する」という工法が採用されました。これにより14号松原線の「3年間通行止め」が必要となったのです。
順調に進んでいる「垂れ下がり高架橋」撤去作業
4月に入った時点での工事の進捗は、「橋桁を撤去している段階」です。3年間の全体工程の中で、どのあたりの進み具合なのでしょうか。まず、全体の工程は以下のようになっています。
●通行止め開始
●仮設桁設置
●作業台車設置
●ワイヤーケーブル撤去
●既設橋桁の撤去(現在はこの作業中)
〇作業台車の撤去
〇仮設桁撤去
〇橋脚頭部の撤去
〇橋脚頭部の架設
〇新しい橋桁の架設
〇舗装・付属構造物など仕上げ工事
このうち、一般道路を一時的に規制して行う作業は、作業台車の撤去や新しい橋桁の架設など一部にとどまっています。
現在は、橋桁撤去の準備が終わり、撤去作業が行われている最中です。今まで行われていた「準備」とは、移動作業車と呼ばれる、撤去を上から行うための「吊り下げ式の機材設備」を設置する作業でした。この工法のおかげで、撤去時に真下の一般道路を通行止めにする必要が無くなったのです。
この橋桁撤去は2023年6月ごろに完了予定。そのあと、吊り下げ式の機材一式の撤去が数か月間をかけて行われます。年明けまでには、瓜破交差点の上空は「スカッと何もない」状態になる予定でしばらく阪神高速14号松原線の高架が、長居公園通の上で「ブツっと途切れた」姿で見られることとなります。
2024年に入ると、両側にある橋脚の頭部を再構築して、いよいよ新しい橋桁の架設に入ります。すでに高速道路上で組み立てた鋼製橋桁を、巨大な台車を使って両側から送り出していきます。最後に、長居公園通の上空部分の橋桁を、一括で吊り上げて架設完了。あとは舗装などの仕上げとなります。
変化してきた「う回路」の状況 同時に工事中の「阿波座JCT」
今回の工事のう回路として、阪神高速では「6号大和川線・5号湾岸線経由」「近畿道・13号東大阪線経由」などのルートを紹介しています。なお、西名阪道・南阪奈道路と大阪都心部を行き来する場合は、上記のどのルートを使っても「14号松原線経由」と料金が同額になるよう調整(ETC車対象)されています。
ただ、う回ルートの中には、1年を経た今でも混雑が顕著となっているルートがあります。それが「近畿道・13号東大阪線経由」、なかでも天保山方面の16号大阪港線「阿波座」付近を先頭とした混雑です。
都心の環状線を東西につらぬく13号東大阪線~16号大阪港線。その阿波座JCT手前の西行き左側車線で工事が行われており、2022年6月から、この1車線が約600mに渡って規制されています。
ここは片側3車線の外側に新たな1車線を追加した構造となっていますが、元の高架と拡幅車線の高架を別々の橋脚で支えている部分があり、互いの橋桁のたわむ部分がズレることで、車線と車線の間の段差が大きくなっていました。そのため抜本的な対策として、「元の高架と拡幅車線の橋桁を一体化」することになりました。
この区間は、13号東大阪線と1号環状線から神戸・天保山方面へ向かう交通の合流部となる部分です。このため車線規制での工事が困難な場所でしたが、14号松原線を通行止めで実施した場合、14号松原線から1号環状線を経由して3号神戸線や5号湾岸線に向かう交通流が他路線へ転換し、阿波座の交通負荷が一時的に軽減する見込みが立ったことから、阿波座の縦目地解消のタイミングはここしかないと判断されました。2つの工区が同時進行となっているのは、互いに交通影響を最小限にする工夫と言えるでしょう。
とはいえ、車線規制でやはり混雑の発生が見込まれます。そのため、阪神高速は14号松原線のう回路として「6号大和川線まわり」「近畿道まわり」どちらがいいのかを判断するために、リアルタイムで所要時間情報を提供し、分散した高速道路の利用を促しています。さらに、ことし3月末から、各区間で「この場所はこの時間帯にこれだけ混みますよ」という早見表を公開しており、「事前に確認し、混雑の少ないルート・時間帯を走行してほしい」と呼びかけています。
阪神高速の担当者は「地域の皆様、ご利用の皆様のご協力があり、工事は順調に進んでいます。今後とも工事へのご理解とご協力をお願いします」と話します。
【了】