爪を高速振動 進めマルチプルタイタンパ 守れ東海道新幹線の要注意点「線路の石」
東海道新幹線は、営業列車が通る区間のほとんどが、石を敷き詰めた「バラスト軌道」。その石が流出してしまったという想定で、「マルチプルタイタンパ」が現れました。東海道新幹線の安全安定輸送を縁の下でさせる力持ちです。
震えるマルタイの爪
レールが石の上に敷かれている線路「バラスト軌道」。列車通過時、石(バラスト)がクッションのようになることで、衝撃吸収や荷重分散、騒音低減といった機能を発揮します。
コンクリートの上にレールを敷く「スラブ軌道」などの線路構造と比べ、建設コストが低い、排水性がよい、などが特徴です。
ただバラスト軌道は構造上、強度が比較的低く、大雨や大地震によって石が流出するおそれもあります。
2020年11月5日(木)、JR東海はこの「大雨によるバラスト流出」を想定した復旧訓練を、東海道新幹線の三島車両所(静岡県三島市)で実施しました。
バラストが流出した線路へ、それを人力で入れ直したところで現れた「マルチプルタイタンパ(マルタイ)」。レールを枕木ごと持ち上げつつ、細かく振動する爪をバラストの中へ突き刺すことにより、バラストとレールを適正な状態へ整えるマシンです。
「マルタイ」はバラストの中へ「ガッ」と爪を差し込み、震わせたのち、爪を引き上げて少し前進。これを繰り返し、最後に人の手で整えて、きれいなバラスト軌道が復活しました。
1964(昭和39)年と開業時期の古い東海道新幹線はほかの新幹線と異なり、営業列車が通るほとんどの区間で、この昔ながらのバラスト軌道を採用(橋梁部などは除く)、終電後にこの「マルタイ」が始動して、「石」と「レール」を整え、新幹線の安全と快適さを縁の下で支えています。
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