443km/hで走った最速の新幹線955形「300X」現代に受け継がれる7年の生涯で残したもの
300系新幹線の登場後すぐに造られた試験車両300X。なぜ新型車両が出た直後に試験車両が造られたのでしょうか。航空機と競ううえで、あらゆる試験要素を詰め込んで走った300Xは、リニアを除く最高速度443.0km/hを記録しています。
300系新幹線の課題
「300X」こと955形新幹線電車が登場したのは1995(平成7)年のことでした。実はその3年前の1992(平成4)年、300系新幹線電車が営業運転の「のぞみ」として東京~新大阪間を2時間半で結ぶというインパクトとともに、華々しいデビューを飾っています。
300系は東海道新幹線で270km/hの運転が可能でしたが、10‰(1000m進むと10m上る計算)の勾配では257km/hまでしか速度が上がらず、力不足でした。また東海道新幹線に点在する半径2500mのカーブでは、250km/hまで速度を落とす必要がありました。300系の性能では今後、航空機が台頭してきたら競争に打ち勝てないという懸念があったのです。
そこでJR東海は「さらなるスピードとサービスが必要で、そのためには間断なき技術開発が必要不可欠である」として1990(平成2)年から計画を練り始め、5年の歳月を経て955形、通称「300X」をデビューさせました。300Xは営業運転に使用することは一切想定されず、あらゆる試験用に設計された新幹線でした。
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