「最後はカンと経験」世界唯一の救難飛行艇「US-2」の訓練とは 密着取材で見えた実力
職人芸の連係プレー 着水不可なら救命キット投下も
救助には搭乗員間のチームワークに加え、要救助側との素早い連絡調整と意思決定が必須で、着水から要救助者収容までの標準的な時間は10分とされています。
具体的な手順は捜索、海面評価、要救助者発見、そして着色剤や発煙筒を目標位置に投下し、救助という流れ。爆撃機のように照準器があるわけではなく、正確な位置に投下するには投下高度と速度が決められており、目標との距離を見極めて投下タイミングを計ります。これにも練度が必要です。着水できる場合は直接救助、着水できない場合は救命キットを投下する間接救助、または船舶誘導を行います。
このたびの救難訓練を取材するにあたり、搭乗申込の際に海上幕僚監部の広報官から「乗りもの酔いしやすいですか?」と聞かれました。飛行中はともかく着水すると海上では波に揺られますが、主翼の補助フロートの影響で船とは違う独特の揺れがあり、それでやられてしまう人が多いそうです。訓練場所は四国の八幡浜沖。晴天も北風やや強く、波高1.1m、波長15m。離着水難度55%(100%が最も難しい)という状況でした。
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