驚愕ルックス「巨大な輪っか型の翼」を持つ旅客機 メリットは一体…? 米航空メーカー大手が研究の異形機
アメリカのロッキードはかつて、型破りな設計を持つ旅客機のデザイン案を研究していました。主翼が板状ではなく、リング型なのです。どういったメリットがあり、なぜ実現しなかったのでしょうか。
高効率&省スペースも…
ANA(全日空)も導入したL1011「トライスター」などを生み出したものの、旅客機事業からは撤退したアメリカの航空機メーカー、ロッキード(現ロッキード・マーティン)。同社では1980年代、型破りな設計を持つ旅客機のデザイン案を研究していました。主翼が板状ではなく、リング型なのです。どういったメリットがあり、なぜ実現しなかったのでしょうか。
この旅客機の全長は52m、最大120人の乗客を搭載できるキャパシティを持っていました。エンジンは2発で胴体中央部に載るように設置されます。主翼の取り付け位置は通常の旅客機とほぼ同様ですが、そこから両翼とも上に大きく反り返り、最上部でつながっています。翼の円周は7.4mです。
海外メディアなどの報道などを総合すると、このリング型の主翼を採用することで、一般的な主翼の翼端に発生する空気の流れ(翼端渦)が発生しないため、燃費効率の良い運航が可能になる、というのが大きな利点です。
またこの翼型の採用により、空を飛ぶための揚力も上がることから、短い滑走路からの発着も可能に。一般的な主翼と比べると機体の横幅が小さくなるため、使用するスペースも小さくて済むというメリットもあったとのことです。
こういったメリットがあったものの、この機体が実際に空を飛ぶことはありませんでした。それは革新的な設計ゆえコストがかさみ、安全上超えなければならないハードルが高くリスキーと判断されたこともありますが、リング状の主翼がやはりアダになったようです。
というのも、リング状の主翼がもつ揚力の増加で燃費効率の高い飛行ができるというメリットも、抵力が一般的な主翼より大きくなってしまうため、その強みが結局は打ち消されてしまうというのが主な理由とされています。
【了】
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