高速列車TGVと在来線がなぜ衝突 新幹線とは異なる事情

フランスの高速列車「TGV」が、在来線の列車と衝突する事故が発生しました。新幹線と在来線の衝突はなかなか考えられませんが、フランスではなぜ起きたのでしょうか。

新幹線と在来線が同じ線路を走っていた?

 2014年7月17日(木)フランスの高速鉄道「TGV」の列車が、在来線の急行列車に追突されるという事故がありました。TGVは最高速度320km/hで営業運転を行っているフランスの高速鉄道で、日本の高速鉄道「新幹線」のライバルです。

 報道によると、フランスのドンガン(Denguin)付近を赤信号のため30km/h程度で走っていたTGVに、急行列車が90km/hほどで衝突。40人が負傷し、4人が重傷と伝えられています。事故の原因としては、保守点検作業中だった信号に何らかのトラブルがあった可能性が考えられるそうです。

 しかし、TGV同士の衝突なら話は分かりやすいですが、なぜTGVが在来線の急行と衝突してしまうのでしょうか。日本の新幹線に在来線の列車が衝突するイメージは、なかなか湧かないと思います。

 実はTGVのシステム、運行体系は、新幹線とは大きく異なっているのです。

日本でもあの新幹線が

 日本の新幹線は高速走行が可能な線路を、新幹線の列車が専用で使う形です。在来線とは線路の幅などの規格が異なるため、新幹線と在来線での直通運転はできません。

 しかしフランスでは高速走行可能なTGV専用線と在来線の規格に共通性があり、直通運転が可能になっています。日本の地理に例えるなら、東京~岡山間は新幹線の線路を走り、岡山から在来線に入って四国へ向かう、ということができるのです。

 今回の事故は、そうしたTGVの特徴を活かし在来線区間を走行していたTGVが在来線の列車に衝突されたと、いうことになります。

 ちなみに日本でも、このように新幹線と在来線が同じ線路を走る状況があります。山形新幹線と秋田新幹線です。

福島付近で新幹線の線路から在来線の線路へ降りてくる山形新幹線「つばさ」。

 山形新幹線の場合、東京~福島間は新幹線の線路を走りますが、福島~山形~新庄間は在来線の奥羽本線を走行。その奥羽本線内では、新幹線「つばさ」と在来線の普通列車が同じレールを使っています。

 基本的に新幹線と在来線は、規格が異なるため直通できません。しかし在来線の線路の幅を新幹線と同じサイズに変更するなどし、新幹線と在来線の直通運転を可能にする「ミニ新幹線」という方式があり、山形新幹線と秋田新幹線がそうなのです。

 今回のTGVの事故は、日本に例えると福島~新庄間の在来線区間を走行していた山形新幹線「つばさ」に、後続の在来線の普通列車が追突してしまった、と考えると分かりやすいでしょう。もちろん山形・秋田新幹線はそうならないよう、システムが整えられています。

【了】

Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)

鉄道ライター、イラストレーター。「鉄道」や「旅」に関する執筆活動や絵本の制作を行っているほか、鉄道車両のデザインにも携わる。子供の頃からの旅鉄&撮り鉄で、日本国内の鉄道はJR・私鉄の全線に乗車済み。完乗駅はJRが稚内で、私鉄が間藤。メインは「鉄道」だが、基本的に「乗りもの」好き。

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