6倍になったJR東日本の「協力金」 山田線の震災復旧
震災により運休が続くJR山田線の宮古~釜石間。どのように復旧するのか、JRが当初の6倍となる協力金の支援を表明するなど、地元自治体とのあいだで検討が続けられています。
JR線から三陸鉄道移管にあたっての「協力金」
2011年3月11日に発生した東日本大震災により、JR東日本の山田線は海沿いを行く宮古~釜石間で運休が続いています。山田線は、岩手県の盛岡駅と釜石駅を結ぶ157.5kmの路線です。
この区間の運転再開についてJR東日本は当初、BRT(バス高速輸送システム)での仮復旧を提案しました。しかし沿線自治体から理解が得られなかったため、JR東日本は鉄道路線として復旧させた上で、自社が運行するのではなく、第三セクター鉄道の三陸鉄道へ移管することを提案。それにあたってJR東日本は2014年2月、復旧費210億円の7割となる140億円を負担し、人材の支援を行い、10年分の赤字補填となる5億円を援助することを表明します。しかし、沿線自治体との合意には至りませんでした。
そこでJR東日本は地元の要望を踏まえ、赤字補填などに使われる「協力金」として30億円を支払うことを提示したと2014年11月25日、報道されました。支援額が当初の6倍になった形です。
山田線の運休区間(宮古~釜石)について、その平均通過人員はJR東日本の資料によると、震災前年度の2009年度は713人/日でした。国鉄からJRへ移行した1987年度は1719人/日であったため、およそ6割も減少していることになります。ちなみにJR東日本でもっとも平均通過人員が多い山手線は、108万888人/日です(2013年度)。
また山田線全区間(盛岡~宮古~釜石)の2013年度における旅客運輸収入は、1億5100万円です。対し、JR東日本でもっとも旅客運輸収入が多い東北新幹線は3612億2300万円になっています(2013年度)。
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Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)
鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。
大船渡線・気仙沼線は残念ながらBRTになるようだけど、只見線や山田線は鉄道で残してくれている。あたりまえだけど、きちんと運賃を払って乗車したい。