鉄道ゲーム『A列車で行こう9』最新版、パッケージにポルトガル「ロシオ駅」 そこにある意味とは?

パッケージの雰囲気が大変化したワケ

『A列車で行こう9 Version4.0 マスターズ』では、10km×10kmの広大なマップで、最大200編成の列車を運行できます。これは山手線の約4倍に匹敵する本数です。バスとトラックも合わせて200台を管理できます。

 また列車ダイヤの詳細な設定機能はそのままに、列車を色分けして管理する機能が追加されたほか、さらに自分で設定したダイヤのなかから列車を選び、自分で運転できるようになりました。特急列車を運転しているときに、あらかじめ前方の各駅停車を駅で待避させたり、単線区間で運転しているときに、指定した駅ですれ違いさせたりできます。このように『A列車で行こう』はユーザーの希望を取り入れ進化していきました。

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『A列車で行こう9 Version4.0 マスターズ コンプリートパック』のパッケージ(画像提供:アートディンク)。

 ところで、今作の『A列車で行こう9 Version4.0 マスターズ』は、パッケージがいままでの作品とは趣が変わっています。これまではゲームマップや「鉄道と都市を俯瞰するイラスト」などが使われていました。しかし、今回のパッケージは駅の内部。ヨーロッパの荘厳な終着駅という雰囲気です。実はここに、開発者の思いが込められているそうです。

 この写真はポルトガルの首都、リスボン市の終着駅、ロシオ駅です。ロシオ駅は1957(昭和32)年までリスボンの中心的な駅として活躍しました。メーカーのアートディンクによると、「ゲームにこのような駅舎が登場するわけではありません」とのこと。採用の決め手は「たくさんの終着駅の写真から、趣のある終着駅を選びました」だそうです。その理由は「『A列車で行こう9』の最後のバージョンアップになるかもしれないから」。

『A列車で行こう』シリーズは、1985年12月に初登場。今年、2015年12月に30周年を向かえます。これは筆者の予想ですが、30周年を機に次回作『A列車で行こう10』の構想が始まっているかもしれません。鉄道紀行作家の宮脇俊三の著書に『終着駅は始発駅』があります。「終着駅」の『A列車で行こう9 Version4.0 マスターズ』で遊びつつ、今後の新しい「始発駅」に期待しましょう。

 価格はバージョンアップ版が5800円(税別)、初めて遊ぶ人向けのガイドブック付き全バージョンセット『A列車で行こう9 Version4.0 マスターズ コンプリートパック』が1万6800円(税別)。対応動作環境はWindows 8.1/8/7(いずれも64bit版&32bit版)/Vista/XPです。

【了】

Writer: 杉山淳一(鉄道ライター)

乗り鉄。書き鉄。ゲーム鉄。某出版社でゲーム雑誌の広告営業職を経て独立。PCカタログ制作、PC関連雑誌デスクを経験したのち、ネットメディアなどで鉄道関係のニュース、コラムを執筆。国内の鉄道路線踏破率は93パーセント。著書に『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。日本全国列車旅、達人のとっておき33選』(幻冬舎刊)など。

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