最新“モテグルマ”事情に見えるクルマ熱復活の兆し 証明するイギリスの歴史

イギリスの歴史に見える日本の“クルマ熱”復活の予感

 そうは言っても、もうかつてのようなクルマ熱が戻ってくることはないのでは、という声もあるかと思います。

 確かにバブル期のように、女性がクルマで男性を値踏みしたり、正真正銘クルマだけでモテたりすることは、日本ではもうないでしょう。しかしクルマ熱は、その国の経済状況と連動しており、好景気になれば必ず上昇し、男性はいいクルマを欲しがり、女性もいいクルマに乗りたくなります。

 なぜなら好景気下では、「より豊かになる競争」が始まるからです。逆に不況下では「貧しくならない競争」が始まり、高いクルマ、非実用的なクルマは、最大級のムダとして真っ先に切り捨てられます。

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2015年5月に発売されたばかりのオープン2シーター、マツダ「ロードスター」(2015年6月、清水草一撮影)。

 その事実に気付かせてくれたのはイギリスでした。私が初めてイリギスを訪れた1981(昭和56)年当時、イギリスはまだ「英国病」から脱しておらず、経済状況は最悪。まさに沈みゆく大国そのもので、街行くクルマは汚れたままのボロが大半でした。

 それから19年後。金融立国を果たし好景気に沸くイギリスは、どこもかしこもピカピカのクルマだらけ。高性能車や超高級車がそこらじゅうを走っていました。

 イギリスのような成熟しきった先進国でも、景気が良くなればいいクルマが欲しくなる。日本のデフレ不況は約20年という異常な長さでしたから、クルマ熱が本格的に回復するには最低あと数年は必要だと思いますが、すでにその兆候は表れているように思います。

【了】

Writer: 清水草一(首都高研究家)

1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高はなぜ渋滞するのか!?』などの著作で、首都高研究家/交通ジャーナリストとして活動中。

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