年間赤字8億円の航路再建へ 佐渡汽船の高速フェリー「あかね」好調の理由

北陸新幹線の影響を受ける佐渡島

「あかね」の船体形状は、「カタマラン(双胴船)」と呼ばれます。2つの船体を持っており、航海中はこの船体部分で船全体を浮かせることで、水の抵抗を大きく減らすことができます。

 また、船体はアルミ合金であり、軽量で航海性能が高いこと、推進力はプロペラではなく、船尾部から4基のウォータージェットのノズルが水流を噴射し航行するため、「高速航行が可能」「高速航行に至るまでの時間が短くてすむ(加速性)」「ウォータージェット自体の角度を変えることで、舵なしに進行方向を変えることができる」「広々、ゆったりとしたスペースを確保できる」――などの利点があります。

 こうした利点から、「あかね」は乗用車152台を乗せられる2層の車両甲板や、672人がリクライニングシートで快適に移動可能な乗客甲板を確保できました。加えて土産物などを販売するショップやペットルーム、キッズルームなどの設備も作ることができ、“操船性や高速性、スペース性で優れたフェリー”として建造されています。

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2008年3月に就任した佐渡汽船の小川健社長。(2015年9月15日、下山光晴撮影)。

「あかね」の集客実績は「就航以来半年の集計だが、年間20万人ペースで推移している」と、2隻体制時の数字を達成しつつあるといいます。「この航路の最大輸送実績に合わせて85m型としたが、もう少し大きくしておけばよかった」(小川社長)と振り返るほどの好調さ。そして新潟航路が「北陸新幹線の影響か、多少乗客が減っている」という現象もあるなかで、冒頭の「『あかね』を決めていなかったら、ぞっとする」という発言につながるわけです。

 これからの課題について小川社長は、佐渡島の観光地としての魅力をアップし、世の中に発信していくこと、島内の看板や外国語サインの整備を含め、外国人観光客を誘致するためのインバウンド対策をとること、佐渡3航路に投入している運航船のなかには高齢化している船もあり、その運航体制について検討していくこと――などの意向を明らかにしています。

「金山」や天然記念物「トキ」で知られる佐渡島ですが、ほかにも民間芸能として伝承されてきた農家による「能」、そして「温泉」「釣り」など様々な観光資産があります。今後は「観光を単独で盛り上げるには限界がある。広域的に地方自治体や民間の力を集めて、観光振興に取り組んでいくこと」(小川社長)が、最大の課題になりそうです。

【了】

Writer: 若勢敏美(船旅事業研究家)

1949年生まれ。業界紙を経て1980年、海事プレス社へ入社。1989年、雑誌『CRUISE』創刊に参画し、翌年から編集長。2008年、海事プレス社の社長へ就任。2012年退任。この間、取材、プライベートを含め35隻の客船に乗船して延べ55カ国を訪問。地方自治体や業界団体主催の講演会などに多数出席。

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コメント

4件のコメント

  1. 上越市は新潟県第三の都市です。お間違えなく・・・・

  2. 1.5日に1航海ではなくて1日に1.5航海ですよね。

  3. 佐渡汽船が唐突かつ一方的に貨物運賃を一律2割値上げを宣言し、もめにもめてた最中にタイミングばっちり合わせてこの記事が公開されたというのは、何か意図があったのでしょうか?

  4. あかねが就航し初めての冬。現在、船舶のドッグ検査のためあかねは新潟両津航路に就航しています。
    そして、たいへんな事態が起きているようです。
    船内はまるで野戦病院のような様相とのこと。

    ぜひ、取材して記事を掲載してください。