高級・重いクルマほど減額、謎の燃費新税 消費増税と同時導入

減税のため、わざと車両の重量を増す?

 燃費基準は現在、車両重量によって15段階にも分けられています。それぞれの数値に対して「未達成」「達成」「+10%達成」「+20%達成」の4段階の判定があり、それに応じて課税率(減税率)が決まるわけですが、そもそもなぜ、クルマが重いと燃費基準が緩くなるのでしょう。

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 もちろん、クルマが重ければ自然と燃費は悪くなるものですが、重い分、燃費が悪くても良いのなら、メーカーの軽量化への努力はあまり意味のないものになります。実際、日本ではクルマが重いほうが減税を受けやすいので、装備を満載してわざと車両重量の数値を上げ、ちゃっかり減税を受けたモデルも存在しました。

 表を見れば分かるように、最も軽いクラス(741kg未満)の燃費基準は24.6km/l(JC08モード)ですが、最も重いクラス(2,271kg以上)では10.6km/l(同)に緩和されています。

 スズキ「アルトF」(2WD・軽自動車・JC08モード燃費29.6km/l)は、車両重量610kgのため最も軽いクラス。

 対し、レクサス「LS600hL エクゼクティブパッケージ」(4人乗り・ハイブリッドカー・JC08モード燃費11.6km/l)は2380kgで、最も重いクラスです。

 定員はともに4名。実際の平均乗車人数にも大差はないでしょう。

 が、減税額には大差がつきます。「アルト」は燃費新税の非課税対象車(軽自動車のため2%分まるまる減税)、「レクサスLS600hL」は1%課税(3%のうち2%分減税)になりますが、「アルトF」は車両価格84万7000円のため、減税額は約1万5000円。対する「レクサスLS600hL エグゼクティブパッケージ」は定価が1595万4000円なので、約29万円も減税されます(※注)。

 燃費の決して良くないクルマが、燃費がはるかにいいクルマの約20倍も減税を受けられる。理由は「重いから」。こんなおかしな話はありません。

 世の中には重いクルマも必要ですし、重いクルマにも低燃費化の努力はしてもらいたいですが、こんなに優遇する必要はまったくありません。

※注:取得税は新車価格のおおむね90%に対して課税されるため、燃費新税も同様の計算で算出。

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コメント

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5件のコメント

  1. 典型的な「お役所仕事」

    そして、政治屋と官僚達の懐が太る方法…
    「越後屋、お主も悪よの~」

  2. エコカー減税で既に逆累進だったのか、更に露骨になるのか。本来は環境負荷の軽い(EVやHVは廃車時のバッテリーがどうなんだろう)「軽自動車」こそを一番に優遇して、実燃費を更に改善する為の原資を軽メーカーに蓄えさせるべきと思う。ま、エコに名を借りた普通車メーカー保護振興策(国内で高額車を買わせる)は、政官財として廃止できないって事だね。

  3. 高級車が売れた方がメーカーの利益も高いし経済の回転効率が上がる。
    少ない台数=労働者の賃金減で高い利益を得た方がいいに決まっている。
    そんな経済の理論を考えられない人はコメントすべきではない。

  4. 燃費が良いクルマを減税するよりすべてのクルマを減税してその分ガソリンを増税した方が公平だと思う。

  5. この実態に会計検査院がどこまで切り込めるか見ものである。私たちはコソ泥を捕まえるために彼らに税金を払っているのではない。