高級・重いクルマほど減額、謎の燃費新税 消費増税と同時導入

高級車まで優遇する日本、そこにどんな意味が?

 欧米の燃費規制は、メーカーごとの1台あたりの平均燃費(EUではCO2排出量)に対して、規制値を上回った分の罰金を取るという形で施行されています。燃費の悪いクルマをたくさん売っているメーカーは罰金をたくさん取られるので、メーカー全体として低燃費化の努力をするという方向性です。アメリカではこれを「CAFE規制」と呼んでいます。燃費の悪いクルマへの対策は、日本も同様でいいのではないでしょうか。

 低燃費車購入者への優遇策は海外にもありますが、レクサス「LS600hL」のような、それほど燃費の良くない高級車に対してまで優遇する国はありません。たとえばフランスでは、低燃費車購入者には補助金を出す一方、燃費の悪いクルマの購入者からは罰金を取ります。その判断材料となるEUの燃費基準(CO2排出量)はたったひとつで、クルマが重いからといって基準が緩くなることはありません。

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「レクサスLS600hL」(上)の減税額は約29万円(写真出典:トヨタ)。「アルトF」は約1万5000円(写真出典:スズキ)。

 だいたい1000万円以上するクルマを買う人(法人)が、減税があるから飛びつくとは思えず、消費喚起の効果もほとんどないのではないでしょうか。つまり、日本が実施する高級エコカーに対する減税分は、ほぼムダ金です。

 このような不合理な燃費基準に則ったエコカー減税は、重量税・取得税・自動車税を対象に以前から実施されていますが、日本も乗用車の燃費基準はひとつに統一すべきです。

【了】

Writer: 清水草一(首都高研究家)

1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高はなぜ渋滞するのか!?』などの著作で、首都高研究家/交通ジャーナリストとして活動中。

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コメント

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5件のコメント

  1. 典型的な「お役所仕事」

    そして、政治屋と官僚達の懐が太る方法…
    「越後屋、お主も悪よの~」

  2. エコカー減税で既に逆累進だったのか、更に露骨になるのか。本来は環境負荷の軽い(EVやHVは廃車時のバッテリーがどうなんだろう)「軽自動車」こそを一番に優遇して、実燃費を更に改善する為の原資を軽メーカーに蓄えさせるべきと思う。ま、エコに名を借りた普通車メーカー保護振興策(国内で高額車を買わせる)は、政官財として廃止できないって事だね。

  3. 高級車が売れた方がメーカーの利益も高いし経済の回転効率が上がる。
    少ない台数=労働者の賃金減で高い利益を得た方がいいに決まっている。
    そんな経済の理論を考えられない人はコメントすべきではない。

  4. 燃費が良いクルマを減税するよりすべてのクルマを減税してその分ガソリンを増税した方が公平だと思う。

  5. この実態に会計検査院がどこまで切り込めるか見ものである。私たちはコソ泥を捕まえるために彼らに税金を払っているのではない。