巡視船内の「個室化」「ネット使える」は絶対必要!? 人材確保に向けての大きな改革
海上保安庁は2025年8月26日、来年度(令和8年度)予算の概算要求を公表し、人的基盤の強化に関する具体的な取り組み案を明らかにしました。
概算要求には船内の改革案も
海上保安庁は2025年8月26日、来年度(令和8年度)予算の概算要求を公表し、人的基盤の強化に関する具体的な取り組み案を明らかにしました。

その中で、巡視船艇内の環境改善策として、インターネット環境の整備や居室の個室化などが提案されました。
現状では、巡視船が長期間の航海に出た際、携帯電話の通信圏外では連絡ができませんでしたが、高速衛星通信サービスを導入することで、沖合にいても家族などとのメッセージのやり取りが可能になります。
居室の個室化については、乗組員のプライベート空間を確保するため、船型に応じて個室化を進めていきます。海上保安庁は、個室化の一例として、従来は2人部屋だったスペースに中央に二段ベッドを配置し、上段・下段それぞれに仕切りを設けて個別空間を確保する案を紹介しています。
また、庁舎内の改善案も公表されており、年々増加している女性職員への対応として、庁舎内に女性専用の仮眠スペースを確保することなども、今回の概算要求に盛り込まれています。
海上保安庁は、こうした職場環境の改善について、少子化による価値観の変化などの社会情勢に加え、海上保安官特有の、長期間にわたる緊張度の高い海上勤務という非常に厳しい職場環境の影響により、人材の確保が困難になったり、離職者が増加したりしていると説明。それらの課題を改善するための人的基盤強化の取り組みの一環としています。
こうした通信環境の改善やプライベート空間の確保といった職場環境の見直しは、海上自衛隊でも進められており、価値観の変化に直面している長期航海の職場に共通する課題であるようです。
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