日本のクルーズは終わるのか? 「三菱ショック」と「欧州の隆盛」、明暗分かれたワケ

2016年10月、三菱重工が大型客船から撤退するというニュースをはじめ、日本の造船、客船業界が大きく揺れています。一方、隆盛を極める欧州のクルーズ業界。スタート地点はさほど変わらなかったという両者、なにが違ったのでしょうか。

「三菱重工、大型客から撤退」の、その後

 2016年10月、「コスト的にも成り立たない」として大型客船建造からの撤退を表明した三菱重工。しかし「10万総トン以下の中小型客船には取り組む」という姿勢を示したことで、日本のクルーズ界をひと安心させたようです。

 このとき想定されていた「中小型客船」とは、郵船クルーズが所有、運航しているクルーズ船「飛鳥II」(5万142総トン)の後続船。しかし船価がどうなるのかという大きなハードルがあり、このままでは日本のクルーズは「終わってしまうのでは」という危機感も漂っています。

郵船クルーズが所有、運航する三菱重工製「飛鳥II」。1990年、当時、日本郵船の子会社だったクリスタル・クルーズ社(アメリカ)で就役(写真出典:photolibrary)。

 三菱重工は2016年10月31日(月)に、今年度の中間決算を公表。ドイツ・AIDAクルーズ社向け客船「AIDA Prima(アイーダ・プリマ)」建造に関する赤字がさらに164億円増加し、累計2640億円まで膨れるとしました。またその2番船の引渡しが来年度に延びることも決まっており、「損失額は異なってくる可能性があります」と、大型客船建造失敗の痛手の深さを表明しています。

 ところが、宮永俊一社長は「飛鳥II」後続船の受注について「思い入れがある」(毎日新聞)と答えたとのことで、同船受注へ前向きの姿勢と受け止められました。

 実際、日本郵船の内藤忠顕社長は、2016年6月の株主総会でも、「『飛鳥Ⅱ』の老朽化が進んでいる」としたうえで新造船について「できれば日本の造船所にお願いしたいという希望があるが、高級クラスの客船を造れるのは、日本では三菱重工のみ」と踏み込んだ発言をしており、流れは固まっているように見えます。

 そののち、建造交渉が進んでいるとの情報もありますが、しかし実際には「船価で折り合えるのだろうか。簡単ではないのでは」という見方も流れているのです。

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コメント

7件のコメント

  1. 鉄道では、JR東、JR西と相次いでクルーズトレインを投入するのだから、需要がないわけではない、と思うけど。
    誰かが、JR九州のような火付け役になれば、変わる気がする。

  2. >鉄道では、JR東、JR西と相次いでクルーズトレインを投入するのだから、需要がないわけではない

    悪いけど、日本人のほとんどはそんなもの利用してねえよ。
    一部の金持ち野郎と外国人セレブばっか。

    そもそも、客船クルーズで巡りたいような観光地が日本のどこにあるんだよ。

  3. 需要あるとすれば、豪華クルーズより船上ライブツアーの方。容易にホールが建設出来ない側面もある。既にAKBGも動いている。

  4. 造船のお話なのかクルーズのお話なのか中途半端な気がしました、造船に関して言えば三菱造船が細かい注文をうける内装を手掛けるのはかなり負担だったのではとも
    そういったところは欧州がとても強いのだなと痛感しています

  5. 日本でクルーズが成功しないのは長期休暇が取りずらいってのが一番でしょうね。
    2~3日ならまだしも、1週間とか会社を休めないよ・・・

    お手軽な料金設定で短期クルーズなら少し興味があるけど。
    ただ、船酔いしそうだし、船内で飽きそう(笑)

  6. 日本人はせっかちだから、船でゆったりって観光はあまり好きじゃないのかもしれませんね。それよりは観光地を忙しく駆け巡って観光して終わりってのが多いですね。国民性じゃないですかね。また、ゆったり楽しむような休みも無かったりしますし。定年退職後じゃないと難しいでしょうね。

  7. そもそも、海外がやっているから日本も、という発想がおかしい。日本だからこう、という視点と戦略で物を考えるべき。最近のカジノも同様、日本ならではの方法を問うべき。