環境規制を「順風」に? すすむ船のLNG燃料化 横浜港から始まる次代の「世界戦略」

船舶への環境規制などにより、LNG燃料船の普及が間近に見えてきた昨今ですが、これを見越した国ぐるみのインフラ整備も動き始めており、そのモデルケースとして横浜港が選定されました。なぜ横浜港で、そしてどのように整備をすすめていくのでしょうか。

規模や地理的要因だけではない、横浜港が選定されたワケ

 そもそも横浜港がモデルケースとして選定された理由は、どこにあるのでしょうか。

 国土交通省が公表した「横浜港LNGバンカリング拠点整備方策検討会とりまとめ」(以下「検討会とりまとめ」)によると、太平洋側に位置し、北米航路などのアジア側最初または最後のバンカリング拠点である地理的特性や、国策として国内外からコンテナ貨物の集貨を促進する「国際コンテナ戦略港湾」として位置づけられていることを、理由のひとつとしています。

 LNG基地という既存インフラが、横浜港およびその周囲に整っていることも理由として挙げられています。横浜港の根岸、扇島、東京湾内の東扇島、袖ヶ浦、富津の計5基地、加えて茨城県の日立がすでにLNG基地として整備されており、なかでも袖ヶ浦は横浜港に近く、LNGタンクローリー出荷設備や(船舶向け)出荷用桟橋などの施設も充実しています。

 また、横浜港では2015年8月より、LNG燃料タグボート「魁」が運用されています。「魁」は重油とLNGの二元燃料エンジンを搭載した船で、横浜港新港ふ頭において約2週間に1度のペースで「Truck to Ship」方式(後述)のバンカリングが1年以上にわたり行われており、その「ノウハウの蓄積が図られていることも横浜港の優位性である」(「検討会とりまとめ」より)としています。

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LNG燃料タグボート「魁」への、「Truck to Ship」方式による燃料供給の様子(写真出典:国土交通省「横浜港LNGバンカリング拠点整備方策検討会とりまとめ」)。

 LNGを燃料とするバンカリングは、それほど重油とは違うものなのでしょうか。この点について「魁」を建造した日本郵船(東京都千代田区)の担当者は「燃料の供給手順はさほど変わりません。ただし、重油は常温でも液体ですが、LNGはマイナス160度程度で気化してしまうため、燃料供給時にはLNGの取り扱いに適した機材を使用する必要があります」といいます。

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