横浜市西部の新交通システム「上瀬谷ライン」計画と沿線の新しいまちづくり計画を見る

神奈川県横浜市が、新たな新交通システムの路線計画を立てました。この路線の整備事業概要とともに、新路線計画について沿線の現在の様子も交えて紹介。新たなまちづくりの計画を見ていきます。

「上瀬谷ライン」の計画とは?

 コンクリートの上をゴムタイヤで走る中量輸送機関、新交通システム(自動案内軌条式旅客輸送システム:AGT)。国内では東京の「ゆりかもめ」や「日暮里・舎人ライナー」をはじめ、10路線96.4kmが運行されています。そして今回、新たに横浜市に新しい新交通システムの路線計画が浮上しました。新しいまちづくりと連関した新路線計画について沿線の現在の様子も交えて紹介します。

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横浜市内南部を走る「金沢シーサイドライン」。運行事業者の横浜シーサイドラインは「上瀬谷ライン」の運行事業者の候補にもなっている(2020年8月、鳴海 侑撮影)。

 今回新たに横浜市が計画した新交通システムは、市内西部の瀬谷区にある(仮称)瀬谷駅から(仮称)上瀬谷駅を経て(仮称)上瀬谷車両基地までを結ぶ、延長約2.6kmの路線です。横浜市ではこの路線の整備事業を「(仮称)都市高速鉄道上瀬谷ライン整備事業」と名付けています(以下、「上瀬谷ライン事業」と省略)。

 上瀬谷ライン事業は、アメリカ軍が保有していた旧上瀬谷通信施設返還に伴う新たなまちづくり計画の一部をなしています。旧上瀬谷通信施設の全域返還は2015(平成27)年のことで、防災と環境再生の一大拠点となる空間の形成を目指すことにしました。

 そして2016(平成28)年の交通政策審議会答申において、「上瀬谷通信施設跡地の開発等に対応する新たな交通について、LRT 等の中量軌道等の導入について検討が行われることを期待する」と示され、本格的な軌道輸送システムの導入が検討されました。同年には「国際園芸博覧会」(通称:花博)の開催検討への支援協力を国に要望し、2019(令和元)年に2027年の国際園芸博覧会開催が国際園芸博覧会年次総会で承認されました。こうした経緯を受けて、上瀬谷ライン事業の工事着工は2022年、開業は花博開催に合わせた2027年を目指しています。

 では、建設が予定されている「上瀬谷ライン」の沿線を見ながら、同線の計画と新たなまちづくりについて見ていきましょう。

「上瀬谷ライン」の起点は、相模鉄道本線瀬谷駅の北西にある横浜市立瀬谷中学校付近とされています。現在、この瀬谷中学校は学区が南北に広く、学区域内で中学校が南寄りにあるため、4kmの長距離通学を余儀なくされている生徒が多くいます。そのため、特例的に自転車通学が認められていますが、中学校自体の移転要望があります。そのようななか、瀬谷中学校から約1.1km北にある神奈川県立瀬谷西高校が、2023年度に神奈川県立瀬谷高校と統合予定で、統合されると校地が空きます。

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Writer: 鳴海 侑(まち探訪家・フリーライター)

1990年、神奈川県生まれ。私鉄沿線で育ち、高校生の時に地方私鉄とまちとの関係性を研究したことをきっかけに全国のまちを訪ね歩いている。現在はまちコトメディア「matinote」や「公共交通×IT最前線レポート」などで交通やまちに関する記事を執筆中。趣味はローカル私鉄やローカルバスに乗ること。

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