鉄道写真家・金盛正樹が語る ソニー フルサイズミラーレス一眼カメラ「α7R IV」と「α7S III」で多様な鉄道写真を〈PR〉
実物の鉄道だけでなく、鉄道模型の撮影にも力を入れている鉄道写真家の金盛正樹がソニーの「α7R IV」と「α7S III」を使用。高解像度と高感度、それぞれの特性を生かして、いつもとはひと味違う、より印象的な作品を撮ることができたそうです。
鉄道を魅力的に撮るには
鉄道と名の付くものは実車から模型まで何でも撮影し、あらゆる角度から鉄道の魅力を伝えている金盛正樹が、ソニーのフルサイズミラーレス「α7R IV」と「α7S III」を使って撮影。作品を見ながら、鉄道撮影で役立つ機能や、車両を魅力的に見せる撮影テクニックを語ります。
――鉄道を撮影する時、常に意識していることや重視していることはありますか?
実車を撮る時は広角レンズで近付き、下からあおるように撮ったり、望遠レンズで圧縮感を強調したりするなど、重厚感や迫力を出すように意識していますが、珍しい車両や間もなく引退を迎える車両などは形式写真として正確に、緻密に記録することにも心掛けています。今回使用したソニーのフルサイズミラーレス一眼カメラ「α7R IV」は有効約6100万画素と高解像な上、「ピクセルシフトマルチ撮影*」という機能を使えば通常の撮影では実現できないほど高解像の画像を生成できるので、形式写真を撮るには最適です。動きは表現できませんが、存在感あふれる魅力的な形式写真を撮ることができます。
*カメラのボディ内手ブレ補正機構を高精度に制御し、イメージセンサーを1画素分ずつずらして4枚のRAW画像を撮影、PC上で合成することで、通常の撮影では実現できない高解像の画像を生成できる機能。
上の作品は、石油コンビナートがある四日市と名古屋を行き来する貨物列車を撮ったものです。「レッドベア」の愛称で知られる先頭の機関車のパワフルさやダイナミクスを表現するために、あえて顔の一部を切りました。当然、切れていないものも撮っていますが、こちらのほうが力強く感じたので。鉄道写真は車体を切らずにすべて入れるのがセオリーですが、被写体の収まりよりもインパクトや迫力など、伝えたいことを優先するのが私の撮影スタイルです。
これは「α7R IV」で撮影しましたが、逆光状態でも顔の部分が黒潰れせずにトーンがしっかり残っていて階調が豊かです。後ろに従うタンク貨車の曲面部分もきれいなグラデーションになっていて、解像度の高さがうかがえます。
素早く的確に捉えるαのAFが強い味方に
――走っている列車を撮る時のおすすめの設定を教えてください。
露出モードはマニュアルが基本です。AFのモードはコンティニュアスAF(AF-C)に設定し、AF追従感度設定は5段階の中から標準にあたる「3」を選択。フォーカスエリアはフレキシブルスポットで自由度高くポイントを選択できるようにしています。事前にピントを合わせておく「置きピン」で撮る場合もありますが、ソニーのαはAFが素早く的確なのでAF任せで撮影することが多かったですね。しかも粘り強く追い続けてくれるので、手前から連写で撮り続けてもフォーカスを外すことはほとんどありません。そうすると自分が予測していたベストよりもいいカットを撮れる可能性がありますし、フレーミングにも集中できます。
上の作品は伊豆急行線の河津駅近くで撮ったJR東日本185系電車の特急「踊り子」です。前ぼけに河津桜を大きく入れたかったので、この状況に最適な置きピンで撮影しました。185系と河津桜の組み合わせは、多くの鉄道ファンが狙っていた被写体です。3月のダイヤ改正に伴い、JRから乗り入れていたこの車両は定期運用から外れてしまいましたからね。私もそう思って最後の記念に撮りに行きました。解像度の高い「α7R IV」が車体をシャープに描き出し、美しい前ぼけの桜が最高の脇役になっています。
精巧な模型をリアルに写す圧巻の高解像
――鉄道模型を撮影する時のセオリーはありますか?
模型を撮る場合は絞り値を最大にして、車両全体にピントを合わせて実物感と迫力を出すようにしています。私の場合、車体を斜めに置いたらピント位置をずらして6~7枚撮影し、深度合成をして全体にピントが合っているように見せていますが、そのような後処理が難しい場合は、下の作品のように奥行をなくして真横から撮るのもおすすめです。
これは国鉄時代につくられたEF81形電気機関車です。高解像の「α7R IV」で撮影すると、精巧につくられた模型を緻密かつリアルに表現できます。このように真横から撮る場合は平面的になりやすいのでライティングで立体感を出すのがポイントです。この時は左サイドにメインライトをセットし、車体や台車部分にある黒いバネのパーツなどにハイライトを入れて立体的に見えるようにしています。
――金盛さんがつくるジオラマには人形(フィギュア)が登場することが多いですが、その狙いは?
フィギュアを置くことで、ジオラマでつくり上げた状況や世界観を伝えやすくなると思っています。やはり人が入っているほうがストーリーが生まれ、親近感が湧くというか「こんなシーンあったよね」「この機関車、若い時に撮りに行ったんだよね」と、見る人がそれぞれにイメージを膨らませやすいというか。下の作品も、そのひとつです。
C62形蒸気機関車の模型を主役に、「この機関車が活躍していた頃の機関区は、こんな感じだったかな」と想像しながらジオラマを製作しました。ライトの前にオレンジのフィルターを入れて夕景を演出しているのですが、働いている人のフィギュアを入れるだけで懐かしさや情緒が増すような気がしませんか?
夜間撮影では高感度の「α7S III」が能力を発揮
――夜間撮影は暗いうえに動体で編成写真を撮るのは難しいですが、「α7S III」の高感度撮影は試しましたか?
日没後、暗闇に包まれてからは高感度をいろいろな状況下で試してみました。今回はISO10000まで上げて撮影した作品も多く、「ここまで上げられたからこそ思い通りの画を撮ることができた」というシーンもあったほど高感度の実用性は高いです。下の作品はISO10000に設定して、三脚は使わず手持ちで流し撮りをしましたが、驚くほど低ノイズでブレなくシャープに写すことができました。
東海道本線の函南~三島間で撮影したEF65形電気機関車ですが、真っ暗な中での撮影だったので、流し撮りでなければ絶対に止めて撮ることができない状況でした。手ブレ補正をオンにして、絞りF2、シャッタースピード1/45秒で撮りましたが、シャッタースピードを稼げたのはISO10000という高感度を使えたからです。
こういった夜間の撮影ではEVFも役に立ちます。正直、最初はEVFで動体をしっかり捉えることができるのか不安もありましたが、慣れれば違和感なく使えますし、何よりカメラ設定をファインダー像に反映できるのは大きなメリットでした。暗い中で列車を撮ると、ヘッドライトが強くてフレアで露出オーバーになることありますが、αならEVFで確認して露出を調整しながら撮ることができる。これは夜間に使ってわかった利点でしたね。
高感度でも低ノイズ。ダイナミックレンジも広い
――先ほど「高感度でも低ノイズ」と語っていましたが、画質はいかがでしたか?
個人的には、ノイズはまったく問題ありませんでした。逆に暗いシーンでも「α7S III」のダイナミックレンジの広さが生きていると感じて好印象でしたね。例えば下の作品。これは長野県の千曲川沿いを走るローカルなJR飯山線ですが、ダイナミックレンジが広いおかげで右上に写り込んでいる川も黒潰れせず、しっかりとトーンが残っています。車両の明かりに照らされた雪面も繊細に描き出していて、旅情を感じる作品に仕上げることができました。
下の作品は四日市コンビナートの専用線を走る貨物列車ですが、先頭を走るディーゼル機関車からは煙が出ていますよね。これは排気ガスです。昼間はただモヤッとしたものが見えるだけですが、夜に撮ると光の加減で蒸気機関車の煙のように見えます。ダイナミックレンジが狭いとシャドー側の煙は黒く潰れがちですが、黒潰れせずに繊細なトーンを見せることができました。警戒を促す赤色灯の映り込みも含めて、この列車のかっこよさを表現できました。
模型では夜の情景をリアルに表現できる
――模型撮影でも少ない明かりで撮れることは優位性につながりますか?
低照度で撮影ができることは、模型撮影でもさまざまなメリットにつながります。下の作品は実車の撮影も行った飯山線の駅をイメージした模型を撮ったものですが、夜の雰囲気がリアルに再現されていますよね。
「α7S III」で撮れば、暗くても階調をきれいに表現してくれますから、特別なライティングは不要です。この時もライトは模型に組み込まれているものしか使っていないので、駅の夜景をリアルに表現することができました。中央の柱にあるライトはかなり強い光を放っていますが、ゴーストも出ていませんからね。
通常、模型で夜景を撮る時はもっとガンガンに明るい光を当てて、露出を絞って撮るのですが、「α7S III」ならこのくらいの照度で十分ですし、むしろこのほうがリアルな状況を演出できます。ライティングの手間なく、これだけ自然な風景を撮れてしまうのですから言うことありませんね。
――今後、αシリーズでどのような作品を撮ってみたいですか?
「α7R IV」では、形式写真で新たな表現ができるような気がしています。今までは記録性を重視して大判のフィルムカメラを使うこともあったのですが、カラーフィルムを使うと人様に現像を任せなければならないことがあります。しかし「α7R IV」でピクセルシフトマルチ撮影をすれば、大判フィルムに劣らない記録性の高い写真を撮ることができる。デジタルはすべてを自分の手元でコントロールできるのが強みですから、「α7R IV」を使えば「自分の意図を100%注ぎ込んだ形式写真」が撮れるのではないかと期待しています。
「α7S III」では高感度の強みを生かしていつもと違う表現ができると思っているので、私がライフワークとして撮り続けている寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」の早朝撮影で使ってみたいですね。どちらもいろいろな可能性を感じさせてくれる魅力的なカメラだったので、今後もあらゆるシーンで活躍すること間違いなしです。
「α Universe」では、このほかの作品も紹介しています。ぜひご覧ください!
https://www.sony.jp/ichigan/a-universe/news/550/
1967年兵庫県神戸市生まれ。千葉大学工学部画像工学科卒。中学生の時に友達の誘いで、鉄道を撮り始める。大学卒業後、商業写真プロダクション「ササキスタジオ」に入社。7年間の修行を経て、1996年よりフリーランスとなる。
「鉄道と名の付くものは、実物から模型・おもちゃに至るまで何でも撮る!」をモットーとし、現在は鉄道専門誌や一般誌の鉄道企画などに作品を発表するほか、鉄道模型誌や鉄道模型メーカーの撮影も行っている。日本鉄道写真作家協会(JRPS)会員