コロナで変わる定番 「旅行の形」はどうなるのか? JR東海「ずらし旅」の狙い
「ずらし旅」は東海道新幹線を救うか? もどかしい時代
「ずらし旅」は、東海道新幹線のコロナ禍における苦境を解決するのでしょうか。
1日平均で約48万人を輸送している東海道新幹線(2018年度)。ビジネスユーザーも多く利用しており、主流ではない「ずらし旅」に特に大きな需要があるかというと、疑問もあるところです。
JR東海の関係者は、そもそも「ずらし旅」はそうした「コロナ対策」の提案ではなく「新しい旅のスタイル」の提案で、「旅先で人を避ける旅」である結果としてコロナへの配慮になっているもの、といいます。
鉄道のみならず、旅行・観光業界にも大きな影を落としているコロナ禍。店舗閉店などで京都や奈良の街に元気がなくなるのは、それらに関する観光PRと旅客輸送を進めてきたJR東海にとって避けたいことでしょう。
また昨今、交通・旅行関係の取材をするなかで、「乗ってほしい、来てほしいけど、そう言えない」という事業者のもどかしさを感じることがよくあります。
そして社会全体がコロナ禍の先を見通せないなか、可能なことから前に進まねばならないのも現実。そろそろ旅に出たい人や、「マイクロツーリズム」といわれてもクルマを運転できない高齢者などが行きやすい旅をつくることも、いま社会で求められていることでしょう。
そうしたなかJR東海が提案する「ずらし旅」は、見方によっては妙案とも苦肉の策とも思えるかもしれません。しかしJR東海が言うように「新しい旅のスタイル」として、コロナ後に影響を与えることも考えられます。
ずらし旅の最たるものは、帰省ラッシュの逆方向を行く旅。