【空から撮った鉄道】日本最大級の規模の路面電車 広島電鉄 変わりゆく前にいまの姿を撮る
「広電」「ヒロデン」という愛称で地元に親しまれている広島電鉄は、軌道線と鉄道線あわせて総延長35.1kmの民鉄です。路面電車としては日本最大の規模を誇り、連接車、京都市電、大阪市電など多彩な車両が街を行き来します。中国地方最大の都市・広島を走る路面電車を追いかけました。
この記事の目次
・子どものときに本で見た個性的な車両は少数派となったが
・現在の姿が変わらないうちに空撮を決行
・下見は大事
・空撮はすぐに移動できるから簡単に思えるけれど…
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子どものときに本で見た個性的な車両は少数派となったが
私が生まれたころ、日本の路面電車はある程度淘汰された後で、東京には都電の1路線しかありませんでした。小学生のとき「広島には路面電車天国と言われる広電がある」と知り、鉄道書に載る写真を見て「広電は路面電車なのに普通の鉄道車両(高床車)もあるのは何故だ?」と疑問に感じたものです 。
広電には自社オリジナル車両に混ざって、様々な都市から譲渡され活躍する軌道線車両、連接車、宮島線用の高床車などが在籍し、バラエティに富んだ車両群に興味が湧いていきました。しかし広島に訪れる機会がなく、なかなか乗車する機会に巡り合いません。そのうち宮島線用の高床車が引退し、軌道線と鉄道線は連接車が相互乗り入れを開始。ドイツ・シーメンス社製連接低床車5000形の導入を皮切りに、広電も連接低床車が増備されていきました。
やっと広島へ訪れ始めたころには、子どもの時に本で見た個性的な車両は少数派となっていました。ちょっとガッカリしたけれども、次々と到着しては様々な方向へ向かう電車を前に圧倒されていました。交差点内の分岐も6ヶ所あって、全線を把握するのに時間がかかるほどです。広電は戦前から現在に至るまで、路線が増えることはあっても減ることはありませんでした。
現在の姿が変わらないうちに空撮を決行
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Writer: 吉永陽一(写真作家)
1977年、東京都生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、建築模型製作会社スタッフを経て空撮会社へ。フリーランスとして空撮のキャリアを積む。10数年前から長年の憧れであった鉄道空撮に取り組み、2011年の初個展「空鉄(そらてつ)」を皮切りに、個展や書籍などで数々の空撮鉄道写真を発表。「空鉄」で注目を集め、鉄道空撮はライフワークとしている。空撮はもとより旅や鉄道などの紀行取材も行い、陸空で活躍。
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