見た目は双子 中身は対極!? 火花散らしたライバル3発機「DC-10」vs「L-1011」を比較
外観はもちろんのこと、機体サイズやエンジン配置、開発の経緯や初飛行まで激似な2モデルの代表格に、ダグラスDC-10とロッキードL-1011「トライスター」が挙げられます。両者はどういった違いや強みがあるのか比べました。
単なる偶然じゃない!「似た理由」
2021年現在、旅客機メーカーの2大巨頭といえば、アメリカのボーイング社とヨーロッパのエアバス社で、両社はしのぎを削るライバル関係にあるといえるでしょう。ただ、かつては、これ以外にも旅客機メーカーがあり、強い存在感を放っていました。
たとえば、かつてあった著名な旅客機メーカーとして、現在はボーイング社の一部となってしまったダグラス社(そのマクドネル社と合併し、マクドネル・ダグラス社に)や、現在は民間機から撤退してしまったロッキード社などが挙げられます。そしてこの2社、ほぼ同時期に、非常によく似たスペックの飛行機を生み出していました。
1970(昭和45)年、2社の新モデルがともに初飛行を実施します。8月29日にダグラス社は、DC-10を初飛行させると、そのわずか3か月後、11月16日にはロッキード社のL-1011「トライスター」が初飛行。ともに左右の主翼下に1基づつ、このほか垂直尾翼下に1基、計3基のエンジンを備えた、いわゆる3発機です。
2社がほぼ同時期に初飛行を実施したこれらモデルが、似たような外観を有していたのは、もちろん単なる偶然ではありません。というのも、これらはアメリカン航空がメーカーに提案した新型旅客機の開発仕様に基づいて作られていたからです。共通のコンセプトで、2社が競うように旅客機を開発した結果、似たような機体に偶然にもなってしまったといえるでしょう。
なお、DC-10とL-1011「トライスター」の両者が開発されたほぼ同時期、のちに「ジャンボジェット」の異名が与えられる超大型の4発ジェット機、ボーイング747も開発されていましたが、その機体では、アメリカ大陸横断程度の、いわゆる中距離路線に使用するには、航続距離も搭乗人数も大きすぎるという課題がありました。紆余曲折あったものの、この課題に応えるべく開発されたのが、のちのDC-10とL-1011だったのです。
とはいえ、見た目はもちろん、開発経緯や時期までそっくりな飛行機ではあるものの、中身は全く違います。どのような違いがあるのでしょうか。
L-1011は一度も機体に起因する事故は起こしていない安全で優秀だが拡張性の乏しさとRRに足を引っ張られて今一つに終わってしまった悲運の名機。
一方でDC-10は欠陥を隠して重大インシデントを起こしても隠蔽した挙げ句300人以上を殺した欠陥機。
MD11は操縦性の悪さから事故率の高過ぎる欠陥機。