見た目は双子 中身は対極!? 火花散らしたライバル3発機「DC-10」vs「L-1011」を比較
差は操縦特性にも そっくりさんレースに勝ったのは?
また、この2機種のエンジン配置には、操縦性にも大きな違いが出るともいえるでしょう。垂直尾翼の高さが同じであれば、そこに備わっている動翼「ラダー」の面積にも影響が出ます。このラダーは機首の向きを変える役割を担っており、横風時の方向修正や、旋回時の微調整に使用します。L-1011で採用されているS字ダクトの方が、このラダー面積を大きく取ることができます。
ほかにもL-1011は、開発元がロッキード社という軍用機の名門企業らしく、当時としては飛びぬけて優秀な自動航法装置を他メーカーに先んじて導入し、ほぼ視界ゼロでも着陸できるような機能を有していたほか、「DLC(ダイレクト・リフト・コントロール)」という着陸時のサポートシステムなども導入していました。
それに対しDC-10は、旅客機メーカーの名門ダグラスが手掛けただけあって、運用コストが抑制でき、なおかつパイロットが手慣れた、いわゆるクラシックなタイプの操縦システムを採用していました。当時は、この方が馴染み深いことから、パイロットや整備士の負担軽減にもつながっていたと考えられます。ただしDC-10は、ゆえにダグラス社の「お家芸」ともいえるマイナーチェンジを実施し、1990(平成2)年には、最新のシステムを採り入れた「MD-11」をデビューさせています。
このように、スペックではL-1011はDC-10と互角、もしくはそれ以上ではあったものの、販売実績で見るとL-1011は250機、DC-10が446機で、後者が優勢となっています。これは、販売競争に敗れてしまったため、というのが通説です。
とはいえL-1011は、2021年現在まで機体自体のトラブルなどによる航空事故を起こしていない、という金字塔を打ち立てています。
そう考えると、ダグラスDC-10とロッキードL-1011は、「保守」と「革新」、どちらを採るかという、いわゆる“モノづくり”の現場でよくある2者を象徴していえる、と、言えなくもないのかもしれません。
【了】
L-1011は一度も機体に起因する事故は起こしていない安全で優秀だが拡張性の乏しさとRRに足を引っ張られて今一つに終わってしまった悲運の名機。
一方でDC-10は欠陥を隠して重大インシデントを起こしても隠蔽した挙げ句300人以上を殺した欠陥機。
MD11は操縦性の悪さから事故率の高過ぎる欠陥機。