見た目は双子 中身は対極!? 火花散らしたライバル3発機「DC-10」vs「L-1011」を比較

最大の違いは垂直尾翼のエンジン構造 それぞれのメリットは?

 ダグラスDC-10とロッキードL-1011の見た目における最も大きな違いは、3発機ならではの大きな特徴である、垂直尾翼下のエンジンの取り付け方です。DC-10は垂直尾翼下方にエンジンが吸気口から排気口でまっすぐに、そのままついているのに対し、L-1011は吸気口から排気口がS字上に曲がっている「S字ダクト」を採用しており、エンジン自体は胴体最後部についています。

 これらのモデルに積まれているのは、2021年現在も一般的な旅客機用エンジンとして主流のジェットエンジンである「ターボファンエンジン」ですが、これは、空気取り入れ口からコンプレッサー(圧縮機)まで、できる限り空気の流れに乱れがないことが重要です。

Large 210127 3j 02

拡大画像

ロッキードL-1011「トライスター」(画像:ロッキード)。

 ほぼ同じ場所に、エンジンを取り付けていても排気口周りの形状で差があるのは、両者の設計思想の違いによるものです。DC-10が吸気口から排気口までストレートに配置するスタイルとしたのは、エンジンの効率向上を狙ったからです。ただし、それゆえエンジンの取付強度を維持するために垂直尾翼の構造強化が必要となりました。これにより垂直尾翼の重量が重くなっているほか、エンジンが高いところにあるため、整備に専用の足場が必要となりました。

 一方、L-1011はコンプレッサー前に空気がS字型に流れるため、設計には相当注意を払ったと思いますが、これはボーイング727などで一般的なスタイルのひとつであり、当時の旅客機市場における、エンジンの取り付け方としてはさほど珍しいものではありません。そして、エンジンを胴体尾部に装着するため、構造的に有利であり軽量化も図れるというメリットがあります。

 エンジン自体にも、大きな差があります。L-1011は当時としては低燃費、静粛性などの面でハイスペックな、イギリス製のロールズ・ロイス「RB211」を採用しています。これはのちに、ボーイング747でも搭載可能になる、名エンジンのひとつです。

 一方でDC-10は自由度の高さが強みで、途中からは複数のエンジンから選ぶことができました。これはエンジンの設置方法が、シンプルであったゆえのメリットでした。L-1011のようにS字構造にしていないことで、複数の機種を保有する航空会社が、エンジンについては統一し管理しやすくするといったニーズにも一致したものでした。

【双子みたい】DC-10 vs L-1011のスペック比較表

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。

1件のコメント

  1. L-1011は一度も機体に起因する事故は起こしていない安全で優秀だが拡張性の乏しさとRRに足を引っ張られて今一つに終わってしまった悲運の名機。
    一方でDC-10は欠陥を隠して重大インシデントを起こしても隠蔽した挙げ句300人以上を殺した欠陥機。
    MD11は操縦性の悪さから事故率の高過ぎる欠陥機。