警視庁の一斉飲酒検問に密着 「コロナ前に戻りつつある」その実態 崩れ落ちるドライバーも
師走の夜、警視庁が都内一斉の飲酒検問を実施しました。折しも1日に4人が交通事故で亡くなった日の夜、緊張感ただようなか、寒空の下で警官に事情を聞かれ、うずくまるドライバーの姿も見られました。
都内約100か所の一斉検問 疑わしきドライバーも
2021年12月3日~4日にかけての夜間、警視庁は東京都一斉の飲酒検問を実施しました。伊豆七島など島部を含む102警察署、交通機動隊、高速道路警察隊の警察官867人を動員した大がかりな検問を行い、酒気帯び、無免許運転を含む53件の道路交通法違反者を摘発しました。
また一部では飲酒検問とあわせて、移動オービスを使った深夜のスピード違反取り締まりを実施。違反者の摘発に向けた捜査が続いています。
コロナ禍の外出自粛で、全国的に交通事故の減少傾向が続くなか、2020年の東京都は逆に事故死者数が増加しました。2021年は昨年比で22人減(12月2日現在)の114人と増加に歯止めをかけていますが、検問が行われた3日は、都内で2人のバイク運転者を含む4人が死亡。1日でこれだけの死亡事故が起きることは珍しく、緊張感の高まる中で検問は実施されました。
都内102か所以上で実施された飲酒検問のうち、警視庁城東署は3日22時~24時まで、江戸川区清新町と江東区新砂を結ぶ清砂大橋の橋上で、警察官約20人を動員しました。
清砂大橋は荒川と中川をまたぐ橋で、トラックやタクシーが多く、この時間帯は、そうした営業車の間を乗用車とバイクが途切れがちに走り抜ける感じです。
この短い時間帯に飲酒検問のチェックで取り調べを受ける運転者が、警察官に取り囲まれて、うずくまっている様子が見られました。「あなたの言い分によくわらかないところがある」と問われ、落胆している様子が遠くからもわかります。
厳罰化で激減した飲酒運転ですが、アルコール習慣を背景にした飲酒運転の根絶は簡単ではありません。都内では2020年に飲酒を原因とした死亡事故が5件起きましたが、2021年は現時点で8件と増加しています。
また、3~4日の一斉検問では、東京都内で酒気帯び運転6件、無免許運転2件を含む53件が摘発されました。
「人の流れはコロナ禍前に戻りつつあり、取り締まりは従来通り行っている。飲酒運転をはじめとした危険運転はやめてほしい」と、警視庁は訴えます。
【了】
Writer: 中島みなみ(記者)
1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。
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