「国民負担」決定 自賠責の運用益6013億円の未返済問題で大臣折衝 巨額すぎて返せない!
1990年代に財務省が一般財源に繰り入れた自賠責保険の運用益の未返済分6013億円の返済をめぐる問題で、国土交通省との大臣折衝が行われました。結果として、新たな国民負担が決まりました。
未返済分に「賦課金」導入
自動車ユーザーが支払った自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)の再保険運用益6013億円の貸付を巡って、斉藤鉄夫国土交通大臣と鈴木俊一財務相の大臣折衝が2021年12月22日(水)午前、財務省で行われました。
2022年度の返済額は54億円。2018年に返済が再開された23億円からは増額となりますが、それでも完済までに112年も必要です。巨額過ぎる“借金”に、新たな国民負担がのしかかることが、折衝で決まりました。
自賠責保険制度の根幹である交通事故被害者の救済事業には現状、約144億円が必要で、財務省が54億円に増額しても、大幅な事業費超過になります。
そのため大臣間で取り交わされた覚書には、新たな国民負担が盛り込まれました。
「賦課金制度について2023年度以降の可能な限り速やかな導入に向けた検討を行い、早期に結論を得ることとする」
賦課金制度とは、自賠責保険の保険料に被害者救済事業費を上乗せする制度で、実質上の値上げになります。値上げ幅については、年末にも開催が予定されている検討会で議論されます。
6013億円は財務省が一般会計の補填として、1994(平成6)年と95年の2年間にわたって1兆1200億円を借り入れた残債です。予算の単年度主義をとる財政では本来、一括で返済されるものですが、数年ごとに国交省と財務省の大臣による「覚書」という形で、過去5回にわたって返済期限の延長が図られてきました。そのため、自賠責保険制度の被害者救済事業が、原資を取り崩し先細りの状態になっています。
両大臣は今回の折衝で6回目となる、2023年度以降の返済計画について覚書を交わしました。この覚書では、返済額について2022年度の54億円を水準に、期限を2027年度まで延長することは明言されましたが、交通事故被害者や自動車関連団体などが求めているような具体的な返済計画は盛り込まれませんでした。
【了】
Writer: 中島みなみ(記者)
1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。
こんなもんで済むのかどうか。MMTとかいう理論が破綻して一千兆円の国家債務がどうとかなるのではないだろうね?